(2) 広大な軍用地

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【軍用地】 前にも述べたように、麻布地区、赤坂地区は、赤坂離宮にいわゆる青山御所、東宮御所や大宮御所もあって、元赤坂の大部分を占めていたから、ここだけは特別な場所としても、他に軍用地がかなりの部分を占めていた点に特色がある。現今の防衛庁一帯、赤坂桧町から麻布竜土町へかけてが、その中心部をなしていた。
 多くの市民に明治・大正と親しまれてきた麻布三連隊とか歩兵一連隊という言葉は、震災後の軍縮時代がきても、なお市民にはとくに関心をいだかせる言葉であった。
 ことに麻布連隊区司令部は、本郷とならんで、徴兵検査という点からも、市民の心にしみこむ何かをもっていた。
 祝入営・祝除隊の、のぼり旗風景は、当時の付近の区民にとって、忘れがたい思い出を深く刻みこんでいる。
 大戦中は、これらの軍用地を目がけて空襲が行なわれたという人もある。そうした関係から、終戦直後の区内の軍用地を掲げておくことにする。
 

表29 区内軍用地(終戦時)

所在地面積名称

赤坂桧町三ノ一
赤坂青山北町四ノ四七
赤坂青山南町



赤坂青山北町
赤坂一ッ木町
赤坂一ッ木町
赤坂表町四丁目
麻布竜土町・一〇

麻布三河台二四

赤坂霊南坂町
赤坂表町四ノ一
芝三田一丁目
芝高輪台町三五
芝海岸通一丁目
芝海岸六丁目
芝海岸通三丁目

芝白金台町二ノ二六ノ三
(品川区上大崎長者丸へ
かかる)
芝栄町一三

三一、九五九
二三、六〇〇
一六、二九七



一七、八六〇
二〇、七一〇
一、四一九
五四四
三七、〇七三

一、七五〇

八八七
三四八
二、一九二
一、五九一
二、五〇〇
八四、七七〇
一五四

一二、三七〇




近衛歩兵第三連隊
近衛歩兵第四連隊
第六十一独立歩兵団
司令部及び東部軍法務部
(東京師団司令部及び東京聯隊
区司令部を含む)
陸軍大学校
歩兵第百一連隊
参謀本部分室
赤坂憲兵分隊及び官舎
近衛歩兵第七連隊
近衛第二師図通信隊合併
近衛第一師団長官舎副官官舎
(東京師団長官舎及び副官官舎)
海軍次官官舎
海軍軍務局長官舎
海軍軍楽隊東京分遣隊
海軍東京会議所
芝浦海軍施設補給部
海軍経理学校
海軍東京在勤武官府
東京地方運輸部
海軍大学校


水交社

 
 こうした、区内の軍用地が、どのように広いスペースを占めていたかは表29の示す坪数をみれば明らかである。こうした点に戦時下の港区の一面があったことを忘れてはなるまい。