隣組が町会の下部組織として、防空・防火や物資配給の面で、戦時下の区民生活に重要な役割を演じたことはいうまでもない。
この隣組と町会を一層緊密にし、市と町会、町会と市民の連絡のため、隣組回覧板の制度を設け、回覧板にはさみこむ隣組回報の発行を十四年八月十五日から開始した。この回覧板が市民生活の「お知らせ版」として果たした役割は実に大きかった。
回覧板は横一尺二寸(三六センチ)、縦九寸(二七センチ)のチッソライト製の板で、表面に「隣組は近所つきあいの親睦団体であります」「隣組は第一線の自衛団体であります」などの隣組の説明や、そのモットーを掲げ、その上部に隣組回報をはさむ装置があり、裏面は隣組員の氏名を記すほか、隣組お知らせの欄があって、組員に知らせる事項が記入できるようになっていた。
はじめは一日と十五日の発行で、戦時下における上意下達になくてはならぬものとなっていった。