(2) 東京都の成立と決戦体制

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【昭和十八年東京都成立】 従来、東京市は他の群小都市なみに内務省(国)と府との二重監督下におかれている不合理からの解消を叫びつづけ、都制施行を望んでいながら、長い間実現をみるに至らなかった。これは国も府も都長官選の官治主義を主張し、東京市は強くこれに反対していたためである。しかし、昭和十六年十二月、日米開戦以来、時局に対応して国内態勢を整えるため、東条内閣の緊急国策の一つとして地方制度の大改正に着手、十八年(一九四三)七月一日、府と市を合体一本化して、ついに東京都の成立をみるに至った。とはいえ、実現した東京都制は都長官は官選で、市民の希望に反したが、戦時立法であったため止むを得ない点もあった。こうして、従来の府の区域全部が都の範囲となり、三五区各区の区長は長官が任命するところで、首都の守りに全力をあげることになった。
 こうして初代都長官には大達茂雄が、次長には府知事の松村光磨が任命され、戦時体制への構えで出発した。