離職者対策と施設

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 日中戦争が長期化するにつれて、世界戦争の気配も濃厚な国際情勢になってきた。そのため軍需資財をはじめ国内重要物資の総動員と生産力拡充が、日本の重要問題となっていったことはいうまでもない。物資統制が次第に強化され、平和産業方面に多数の離職者ができていった。この離職者は不況のために失業したとか、事業が失敗して失業したとかの理由によって、戦時経済の強化のため、いわば戦時体制のためにやむなく離職した人々であったが、これらの店を閉め、会社をやめた人々にたいし、何らかの対策を講ずる必要があった。
 しかし、一方に軍需工場の人員増要求があるから転廃業の多くは、こうした軍需産業に吸収されていったが、年齢や技能の関係で転職したくても直ちに就職できない事情の人々――とくに従業員層の人々のため、十四年一月から市は職業補導につとめるほか、市内各所に補導所を設け、四月から、時局むきの産業に送りこむ方法をとった。
 このうち区内には、次の二つの補導所が設けられた。
 

機械工製図工補導所

名  称所 在 地定  員取  扱  科  目修了期間
東京市芝浦機械
工製図工補導所
芝区芝浦三ノ一 東京市
電気局芝浦工場内
男女 一〇〇名
 
機械化(旋盤、仕上、グラインダー 男五〇名)
製図科男女(五〇名)
3ヵ月

 

職業補導所

名  称所 在 地定  員取  扱  科  目修了期間
東京市芝浦職業
補導所
芝区芝浦三ノ一 東京市
電気局芝浦工場内
男女  五〇名
 
謄写印刷、タイプライチング、珠算、簿記
 
二ヵ月