(五) 港区の就業構造

777 ~ 782 / 1465ページ
【全国の労働力人口】 労働力の状態についての総理府の発表によると、昭和五十年における就業者率は、全国で男は八三・四%、女は四六・〇%であり、これを年齢別にみてみると、男は一五歳~一九歳では二三・〇%と低いが、二〇歳~二四歳では七九・〇%と高くなり、二五歳~五四歳では、九七・〇%以上の高率を示し、六〇歳~七四歳でも八五・四%という高水準を示している。
 それにたいして、女は一五歳~一九歳では、二二・六%と、男と同じ程度であるが、二〇歳~二四歳では、六六・六%ともっとも高い労働力率を示し、二五歳~二九歳では、四三・五%に低下し、四五歳~四九歳で六二・二%と女では二番目に高い労働力を示し、五五歳~五九歳まででは、五〇%以上といった値を示している。
 これは、男が家計の担い手として常時経済活動に従事しているのにたいし、女は二五歳~三四歳の年齢時には、結婚、出産などのため一時経済活動から離れ、その後、育児から解放されると再び経済活動に従事するということが示されていることになる。
 しかし、労働人口の伸びが、近年一五歳以上の人口のそれを下回ったため、男の労働力率は昭和四十五年の八四・三%から八三・四%に、女は五〇・九%から四六・〇%にそれぞれ低下した。これは一五歳~二四歳の若年層における進学率の上昇等が影響しているとみるべきであろう。
 諸外国と比較しても、この進学率の上昇傾向が若年層の労働力率において差をつくりだしていることが分かる。これを除けば、一般的にほとんどの年齢階級でわが国の労働力率は高く、とくに六五歳以上の老年層では、欧米諸国よりはるかに高くなっている。
 

表10 年齢別労働力率の国際比較 (単位:%)

年  齢日      本
(1970)      (1975)
アメリカ合衆国
(1970)
総数総数総数
15歳以上人口総数
15~19歳
20~24 
25~29 
30~44 
45~49 
50~54 
55~59 
60~64 
65歳以上
67.1
36.1
77.2
71.5
77.1
79.9
77.2
72.4
63.3
34.9
84.3
36.5
83.5
98.2
98.4
98.1
97.3
94.2
85.8
54.4
50.9
35.7
70.8
45.1
55.7
64.6
60.9
53.7
43.3
19.6
64.2
22.8
72.8
70.9
75.0
80.1
76.3
70.3
59.8
30.2
83.4
23.0
79.0
97.7
98.7
98.2
97.5
94.9
85.4
49.5
46.0
22.6
66.6
43.5
51.3
62.2
58.6
50.7
38.9
15.5
56.8
34.8
68.0
68.7
71.0
72.5
71.0
66.2
53.4
16.2
74.7
40.3
80.9
92.9
94.9
93.5
91.4
86.8
73.0
24.8
40.5
29.2
56.1
45.4
48.3
53.0
52.0
47.4
36.1
10.0
年  齢スウェーデン
(1970)
フランス
(1968)
ドイツ連邦共和国
(1970)
総数総数総数
15歳以上人口総数
15~19歳
20~24 
25~29 
30~44 
45~49 
50~54 
55~59 
60~64 
65歳以上
53.2
31.1
57.7
67.7
71.4
74.0
71.1
64.6
50.1
 8.6
69.4
32.9
62.0
85.0
92.3
92.9
91.9
88.4
75.7
15.2
37.3
29.3
53.3
49.0
49.8
55.0
50.3
41.1
25.7
 3.2
54.5
37.1
72.7
73.7
70.1
70.2
67.7
61.5
48.0
12.4
74.3
42.8
82.6
95.1
97.0
95.5
91.4
82.5
65.7
19.3
36.2
31.3
62.3
50.7
42.4
45.5
45.3
42.3
32.4
 8.2
57.1
65.7
77.2
73.5
72.9
68.8
64.2
56.8
39.7
 9.8
78.8
66.9
86.8
94.0
98.1
96.2
93.6
87.3
69.4
16.1
38.2
64.4
67.1
51.5
46.3
48.4
43.0
34.7
17.8
 5.8
年  齢イギリス
(1971)
韓  国
(1970)
総数総数
15歳以上人口総数
15~19歳
20~24 
25~29 
30~44 
45~49 
50~54 
55~59 
60~64 
65歳以上
61.0
58.3
75.1
70.2
75.7
79.5
77.4
72.1
55.3
11.3
81.3
60.8
89.9
97.0
98.2
97.9
97.2
95.2
86.5
19.3
42.6
55.7
60.1
43.0
53.0
61.5
58.6
50.7
28.0
 6.3
56.2
43.1
47.2
58.6
68.4
71.4
68.3
61.2
45.5
20.0
74.8
45.9
50.3
85.7
96.0
95.2
91.9
85.4
67.9
35.1
38.4
40.3
43.9
31.7
41.6
48.5
45.2
39.1
26.9
10.6

(注) ILO『労働統計年鑑,1975年版』より作成。


 

表11 産業(3部門)別就業者の推移(大正9年~昭和50年)


年 次
産業別就業者数 (千人)産業別割合 (%)
総数 1)第1次
産 業
第2次
産 業
第3次
産 業
総 数第1次
産 業
第2次
産 業
第3次
産 業
大正9年 2)
昭和5年 2)
  15年 2)3)
  25年 4)
  30年
  35年 5)
  40年
  45年
  50年
27,261
29,620
32,483
36,025
39,590
44,070
47,960
52,593
53,141
14,672
14,711
14,392
17,478
16,291
14,391
11,846
10,151
7,396
5,598
6,002
8,443
7,838
9,249
12,802
15,456
17,897
18,118
6,464
8,836
9,429
10,671
14,051
16,862
20,640
24,505
27,456
100.0
100.0
100.0
100.0
100.0
100.0
100.0
100.0
100.0
53.8
49.7
44.3
48.5
41.1
32.7
24.7
19.3
13.9
20.5
20.3
26.0
21.8
23.4
29.0
32.2
34.0
34.1
23.7
29.8
29.0
29.6
35.5
38.3
43.0
46.6
51.7

(注) 昭和48年以前は45年産業分類に組み替えた数字
   1)「分類不能」の産業を含む。 2)全年齢の有業者数 3)外国人を除く。
   4)14歳以上の就業者数 5)10%抽出集計結果による。


 

表12 産業(大分類)別就業者数と増加(昭和50年) (△は減少)


産   業
昭和50年就業者数
   (千人)
昭和45年 1)~50年の
 増加数(千人)
昭和45年 1)~50年の
 増加率(%)
総数総数総数
 総  数 2)

 第1次産業
  農   業
  林業,狩猟業
  漁業,水産養
  殖   業

 第2次産業
  鉱   業
  建 設 業
  製 造 業

 第3次産業
  卸売業,小売業
  金融・保険業
  不動産業
  運輸・通信業
  電気・ガス・水
  道・熱供給業
  サービス業
  公   務
53,141

7,396
6,718
198
480


18,118
136
4,750
13,231

27,456
11,293
1,420
370
3,371
319

8,730
1,954
33,479

3,780
3,230
160
389


13,064
120
4,195
8,749

16,599
6,295
738
244
2,975
281

4,492
1,573
19,661

3,616
3,487
38
91


5,054
16
555
4,483

10,858
4,998
682
126
395
38

4,238
381
548

△2,757
△2,690
△  8
△ 59


221
△ 80
786
△ 485

2,953
1,157
291
96
135
28

1,034
212
1,496

△1,000
△ 959
△  7
△ 34


547
△ 72
665
△ 46

1,934
787
138
59
146
25

613
167
△ 948

△1,757
△1,731
△  1
△ 25


△ 326
△  8
121
△ 440

1,018
370
153
37
△ 11
4

420
46
1.0

△27.2
△28.6
△3.9
△11.0


1.2
△37.0
19.8
△3.5

12.1
11.4
25.8
34.9
4.2
9.8

13.4
12.2
4.7

△20.9
△22.9
△4.4
△8.0


4.4
△37.5
18.8
△0.5

13.2
14.3
22.9
31.9
5.2
9.7

15.8
11.9
△4.6

△32.7
△33.2
△1.7
△21.9


△6.1
△32.7
27.9
△8.9

10.4
8.0
29.0
41.0
△2.7
10.5

11.0
13.6

(注) 1)昭和50年産業分類に組み替えた数字 2)「分類不能」の産業を含む。


【全国の就業構造】 さて、就業構造であるが、昭和五十年のわが国のそれは五、三一四万人が就業者総数であり、それを産業部門別にみると、農林漁業の第一次産業に七四〇万人、鉱業、建設業、製造業の第二次産業に一、八一二万人、商業、運輸、サービス、公務などの第三次産業に、二、七四六万人が従事しており、その比率は一三・九%、三四・一%、五一・七%の順となっている。
 これを、大正九年当時の三者の比率、五三・八%、二〇・五%、二三・七%に比べると分かるように第一次と第三次の順位がまさに逆転をしたわけである。
 そのなかで、第二次産業が昭和三十年の二三・四%から四十五年の三四・一%まで増大したのが、五十年には三四・一%と横ばいになったのにたいして、第三次産業は昭和三十年の三五・五%から急速に上昇し、四十五年に四六・六%、五十年には五一・七%と五〇%の大台を越すまでに至っているのである。
【港区の就業構造】 当区は、従来から第三次産業の発達した地域であるが、昭和三十年と昭和五十年を比較してみると、この状態はより進み、第一次産業は〇・二九から〇・一四%に、第二次産業は二九・二九から二一・二九%へと、それぞれ減少した。
 これにたいし、第三次産業は七〇・四三から七八・五七%と実に全就業者数の八割近くを占めるに至ったのである。
 この第三次産業就業者の内訳は、卸・小売業が三〇・〇二から三四・五四%と大きく増加し、次いでサービス業が二三・一〇から二四・九六%となり、また、数では小さいが、不動産業は〇・五六から三・〇二%へと五倍以上の増加で、注目すべきことである。
 以上のことは、都の区部の区域についても港区ほどではないがほぼ同様にいえることである。
 

      表13 港区と東京都区部の産業分類別年度別(昭和30年・昭和50年)
         15歳以上就業者比較

産業分類港   区東 京 都 区 部
就業者数就業者割合就業者数就業者割合
昭和30年昭和50年昭和30年昭和50年昭和30年昭和50年昭和30年昭和50年
総   数
115,612

112,393
  %
100.00
  %
100.00

2,930,757

4,312,738
  %
100.00
  %
100.00




1農   業
2林業・狩猟業
3漁業・水産養殖業
149
15
174
92
12
58
0.13
0.01
0.15
0.08
0.01
0.05
41,389
 646
7,525
12,994
 636
1,989
1.41
0.02
0.26
0,30
0.01
0.05
小計338 162 0.290.1449,56015,6191.690.36




4鉱   業
5建 設 業
6製 造 業
 259
6,000
27,604
  33
5,224
18,667
 0.22
 5.19
23.88
0.03
4.65
16.61
 6,204
161,494
973,551
  2,040
 342,945
1,125,918
 0.21
 5.51
33.22
 0.05
 7.95
26.11
小計33,86323,92429.2921.291,141,2491,470,90338.9434.11




7卸・小売業
8金融・保険業
9不動産業
10運輸・通信業
11電気・ガス・水道・
 熱供給業
12サービス業
13公  務
14分類不能の産業
34,708
4,330
 642
7,513
 618

26,703
6,880
 17
38,822
 4,046
 3,391
 7,153
 348

28,055
5,600
 892
30.02
 3.75
 0.56
 6.50
 0.53

23.10
 5.95
 0.01
34.54
 3.60
 3.02
 6.37
 0.31

24.96
 4.98
 0.79
743,934
101,406
13,397
170,321
20,987

545,273
144,109
  521
1,273,045
 173,302
 76,319
 268,978
 19,382

 857,206
 133,209
 24,775
25.38
 3.46
 0.46
 5.81
 0.72

18.60
 4.92
 0.02
29.52
 4.02
 1.77
 6.23
 0.45

19.88
3.09
0.57
小計81,41188,30770.4278.571,739,9482,826,21659.3765.53

(注) 各年の国勢調査結果より作成。