三区統合が前述のように難航したため、新たな区の名称が公的な問題となるのは、二月末のことである。
【新区名称決定のいきさつ】 三区関係者の間では、新区の名称として、芝、愛宕、高輪、三縁、麻布、飯倉、三春、三園、赤坂、青山、青葉、御所といった名称が考えられた。しかし、これらはいずれも、三区いずれかの地名に由来しているため好ましくないとされ、三区協議の結果「城東区」と「東港(とうこう)区」が構想された。前者の由来は、芝・麻布・赤坂の三区ともに皇居の東に位置していることにあり、後者のそれは、東京港による区の発展を願ったものである。麻布・赤坂区関係者に反対があったが、後者が選ばれた。しかし、「東京都東港区」では、音が重なり具合が悪いとの意見があり、「港区」とされた。
この区名は、三区区長から都長官に具申されていたが、麻布・赤坂の両区会が統合を議決した二月二十六日、都長官から三区に内示された。その後、三区の区会において議決をみた。
なお、こうした動きとは別に、東京新聞社は、統合される新区の名称を募った。二十二年二月五日に締切られたそれには、二四万二、七二八名が応募した。このうち、旧三区に関係した名称が二万三、九二三人から投じられたが、これによると最も多かったのが、愛宕区であり、次いで青山区、青葉区、飯倉区、三田区などとなっていた。