この総選挙当時、まだ区域の統合は行なわれておらず、三五区の時代である。選挙区も、いわゆる大選挙区制であり、港区の母体となった芝・麻布・赤坂の各区は、麹町、神田、日本橋、四谷、牛込、小石川、本郷、下谷、浅草、本所、深川、豊島、滝野川、荒川、王子、板橋、足立、向島、城東、葛飾、江戸川の各区とともに、東京第一区・定数一〇名を構成した。
【東京一区の衆院当選者】 初の男女平等選挙権の下に実施されたこの総選挙には、戦後民主化の気運を反映し、雨後のたけのこのごとく結成された大小多数の政党が参加した。東京一区の立候補者も、実に一六〇名の多数にのぼった。東京一区における当選者ならびに得票数は、次のとおりである。
鳩山一郎 自由党 一〇六、八七二票
山口シズエ 社会党 八五、一四九票
野坂参三 共産党 八〇、八九七票
浅沼稲次郎 社会党 六八、六三七票
竹内茂代 自由党 四三、三二一票
中島守利 自由党 三七、七八一票
石田一松 諸派 三四、九四〇票
鈴木仙八 自由党 三四、〇七七票
原彪 社会党 三一、三〇七票
林連 進歩党 二九、八九五票
右の一〇名の当選者のうち、前議員は鳩山一郎、元議員は浅沼稲次郎と中島守利であり、残る七名は新人であった。また、山口シズエ、竹内茂代の二名の婦人議員が誕生した。