区職員綱紀粛正問題

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【区議会で吏道粛正決議】 戦後社会の混乱と目まぐるしい行政制度の変化を反映して、この時期には、区民と区職員のトラブルが時おり発生した。とくに、それは徴税事務と区民の死活問題である食糧配給事務をめぐって起きている。区議会は、二十三年十月二十八日に次のような決議を行ない、理事者に区職員の勤務態度の改善、公務員としての職責の自覚を指導するよう求めた。
 
    吏道粛正について
   現下吏道弛緩の声旺なるは洵に遺憾の極みである。理事者は速かに綱紀粛正を図り区政の為に万全の対策を講ぜられんことを切望する。
   右建議いたします。
    昭和二十三年十月二十八日
 
 区理事者は、この建議に応え、新憲法下における公務員の役割を周知徹底させること、戦後絶えている職員研修の復活、人事管理の改善等を図ることを区議会に約し、職員の指導に努めた。幸いなことに、本区では、刑事事件に発展するような事件は起きなかった。しかし、その後も区民と区職員の事務処理をめぐるトラブルが発生して、区議会でとりあげられたこともある。この問題が区議会の質問から姿を消すのは、戦後社会が一応の安定をみる二十七年以降のことである。