その他の諸問題

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 発足間もない港区政は、このほかにもかずかずの問題に当面した。
 その一つとして、井手初代区長への退職手当の贈呈問題がある。矢田区長は、二十四年七月二十七日の第四回定例会本会議に、井手初代区長に退職手当として、二〇万円を贈呈することをはかった。この議案は修正されることなく即日承認されたが、当時区には区長等の退職金条例が存在せず、区長は区議会革新系議員から、算定の根拠を明示するよう求められた。
 その後、昭和三十三年になって、「東京都港区長等の退職手当に関する条例」が制定され、以降これにもとづいて退職金の算定が行なわれている。
 このほか、区議会と理事者との間で議論された主な問題として、麻布支所講堂の昭和電工への貸与、青年団会館など戦前の営造物の管理、小学校校庭の代用ガラス会社による不法占有などがある。このうち、第一の問題は、昭電事件のあった二十三年当時、区は麻布支所講堂(旧議事堂)を、昭和電工に本社分室として貸与していた。しかし、折からの疑獄事件発生のため、区議会の中から無用の誤解を区民の間に生んでおり、早急に明渡しを求めるべきであるとの声が起きた。区も、このような声を受けて、昭和電工と交渉の結果、貸与契約を解消した。