日照問題

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【区政の課題となった日照問題】 四十年代には、区内に高層ビルやマンションの建設が相次ぎ、区の都市景観は大きく変わった。しかし、このような建築ラッシュとともに、日照問題が、次第に区政の重要問題となった。この問題は、とくに高級住宅地として発展をみた青山・三田地区において深刻であり、住民と建設業者との紛争が絶えなかった。ちなみに、四十六年度一年間に、住民から区へ提出された日照関係の陳情、業者との話し合い斡旋の申し入れは、四七件にも達している。
 一方において、この日照問題は教育問題にまで発展した。商業地区の公立小・中学校に隣接して高層ビルが建てられたため、校庭に日が射さないといった状況が生まれたのである。
 区議会においても、日照問題の解決、建築規制が理事者に求められた。区は、住民と業者との紛争については、話し合いの場を斡旋することに努めるとともに、小・中学校に隣接してビルを建設しようとする業者には、設計変更を求め教育環境の維持に努めた。
 その後、五十一年十一月、建築基準法が改正され、中高層建築物の日影規制が制度化された。これにともない区は、都ならびに他区市町村とともに規制基準と紛争解決の具体的方法を検討してきたが、五十三年七月第二回都議会定例会において、「東京都日影による中高層建築物の高さの制限に関する条例」ならびに「東京都中高層建築物の建築の紛争と調整に関する条例」が成立した。今後、区は、これら条例にもとづき日照問題の解決にあたることになった。