【本格化した区長準公選運動】 ところで、ここで右の改正を促した動因をみておこう。四十年の事務移譲後、各区に区長公選実現の運動が区議会を中心に起きた。しかし、従来の区議会、区長会による都、国への陳情、請願運動とは別に、区民の手による区長公選制実現運動が新たに登場した。それが、四十二年に練馬区に始まる準公選区民運動である。これは区長候補者の決定を住民投票によって行なおうとするものであり、そのための条例を直接請求するものであった。この練馬区に始まった準公選運動は、その後、四十五年に荒川、杉並、北の各区、四十六年に中野区に、さらに四十七年には江戸川、品川区へと波及していった。
このように、区民の間に区長準公選運動が広がった四十五年十一月、第一四次地方制度調査会は、区への事務事業の移管・区財政権・人事権の確立による特別区の権限強化を答申した。だが、区長公選制については態度を留保していた。