ところで右の区長の準公選条例は、四十六年に中野区議会において初めて可決された。しかしこの時は、区長が再議に付したため成立をみなかった。ところが、四十七年八月、品川区議会は、全会一致で準公選条例を可決した。同条例にもとづき品川区では、同年十一月に、区長候補者決定のための住民投票が実施された。
政府は、品川区の右のような動きを背景として、四十七年秋、第一五次地方制度調査会に、区長公選の可否を諮問した。同調査会は、十月二十日、「特別区の権能の充実強化と公選制とを合せて解決することが適当」と答申した。政府は、この答申にもとづき、区長公選と区自治権の拡充を内容とする地方自治法改正法案の作成にとりかかったのである。