【港区の重点施策】

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 この時期の港区政の重点施策は何であったか。昭和三十六年十二月に区長に再任された小田区長が、三十七年三月の区議会で、三十七年度予算の説明に先立ってのべた「区政にたいする心がまえと構想の一端」は、過去四年間の実績と「任期中に推進し実施いたしたい事務事業の概要」にふれているので、次にそれを紹介しておこう。
【能率的な運営】 まず第一は、「事務事業の能率的効果的な運営」である。具体的には、「機構改革、事務移譲に伴う職員の増加」とともに、「区民の窓口である庁舎の問題も、第一期工事に引き続き現在の別館事務室の整備拡張を行なう構想のもとに、その資金の積み立てを行ない、本年、明年にわたる継続事業として実施いたしたい」とのべている。
【教育施設の充実】 第二は、「教育施設の内容充実」である。この問題については、「幸いにして、本区の区立小・中学校には、体育館が全部予定どおり完成をみたわけでありますが、戦災校の復旧と、危険校舎の鉄筋校舎への改築につきましては、いまだ完全な解消にまでは至っておりませんので、本年度中におきましても、中学校一校、小学校二校の改築を計画し、さらに、将来の芝浦埋立地区の発展に備え、中学校、小学校各一校の新設を計画計上いたしました」とのべ、「そのほか特別教室並びに給食施設等の整備充実につきましても、年次計画に基づいてこれを予算化いたし、従来行なわれているPTA経費の負担軽減の目的が真にその実をあげるよう考慮を払いたいと思います」と発言している。また、プールの建設についても、「前年度以来建設に着手しているわけでありまして、本年度におきましても、小学校一校、中学校三校分を予定し、その他の未設校につきましても、建設の条件が整い次第、漸次実施に移す所存であります」とのべた。
【道路・街路灯の整備】 第三は、「道路の整備と街路灯の整備充実」である。これについては、「オリンピックを二年余の後に控え……東京を明るく美しくする運動が各方面から強く叫ばれ、いろいろと計画実施されて」いることとの関連で、「都の中心部にある港区といたしましては、高速道路、特定街路の建設等が円滑に進捗することに努力するとともに、道路の整備や街路照明灯の増設など住民各位に直接関心深い事業を積極的に取り上げてこの運動を一そう効果のあるものにしたい」ということであった。
【福祉施設の充実】 第四は、「福祉施設の充実」で、福祉会館の増設や保養施設の設置の計画を掲げた。
【中小企業の振興】 第五は、「中小企業の振興対策」で、「融資のあっせんや融資利子の補給、商工相談等ばかりでなく、多角的に各方面の分野にわたりこの事業を進めて参りたい」とのべ、その一環として産業会館の建設等をも考えていることを明らかにした。
 以上の五本の柱は、昭和四十年代はじめまでの港区の主要施策の基礎となった。