【二三区の歳入構造の変化】

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 表29は、改正前後の昭和三十九年度と四十年度における二三区全体の歳入構造を比較したものである。このなかで、伸び率がきわめて高いのは国庫支出金で、約五一倍もふえている。その構成比も〇・二%から九%へと上昇している。これは、福祉事務所の設置管理や生活保護等の民生事業、小・中学校教材教具・学校整備等の教育事業などの区移管にともなうものである。次に伸び率の高いのは、分担金および負担金の一二倍であるが、これも新たに区の事務となった保育所、母子寮、老人福祉、心身障害者福祉などにたいする負担金の増である。また、これほど伸びは大きくないが、使用料および手数料、都支出金も事務の移管にともなってかなり増大している。
 

表29 歳入構造の比較(23区)

区    分昭和40年度昭和39年度A/B
(%)
決算額(A)構成比決算額(B)構成比
特 別 区 税
分担金及び負担金
使用料及び手数料
国 庫 支 出 金
都 支 出 金
繰  越  金
地  方  債
特別区交付金
そ  の  他
合    計
64,680
198
1,837
10,699
6,745
7,931
491
16,872
10,362
119,865
54.0
0.2
1.5
8.9
5.6
6.7
0.4
4.1
8.6
100.0
59,786
17
1,232
211
4,671
7,252
0
9,721
7,858
90,748
65.9
0.0
1.4
0.2
5.2
8.0

10.7
8.6
100.0
108.2
1,164.7
149.1
5,070.6
144.4
110.1

173.6
131.9
132.1

(注) 『特別区決算状況概要』昭和40年度版による。普通会計。


 
 これにたいして、区税の伸びは八%と小さい。これは、前述の制度改正による税目の変更のためで、区税の構成比は六六%から五四%へと大幅に低下している。一方、このような税目の変更と事務移管にともなう財政需要の増大を反映して、交付金は七割以上も増加し、その構成比は一一%から一四%へと上昇している。
【二三区の性質別歳出構造の変化】 次に、表30は、二三区全体の性質別歳出構造の変化である。とくに目立った変化は、扶助費が約二二倍も増大したことと、納付金が半分以下に減少したことである。扶助費の増大は生活保護等の区移管の結果であり、納付金の減少は前述の交付金の増大と同じ原因によるものである。
 

表30 性質別歳出構造の比較(23区)

区  分昭和40年度昭和39年度A/B
(%)
決算額(A)構成比決算額(B)構成比
人 件 費
投資的経費
物 件 費
扶 助 費
特別区納付金
そ の 他
合  計
31,932
35,101
13,990
13,203
2,654
12,680
109,560
29.2
32.0
12.8
12.0
2.4
11.6
100.0
24,936
28,811
11,701
604
6,335
10,380
82,767
30.1
34.8
14.2
0.7
7.7
12.5
100.0
128.1
121.8
119.6
2,185.9
41.9
122.2
132.4

(注) 『特別区決算状況概要』昭和40年度版による。普通会計。


 
【交付区、納付区の変化】 交付区と納付区の変化をみると、三十九年度に納付区であった文京、品川、目黒、大田、世田谷が四十年度には交付区となり、また、三十九年度に交付区であった千代田、中央が四十年度に新たに納付区となった。引き続き納付区であったのは、港、新宿、杉並の三区であったが、納付額はいずれも前年度よりもかなり減少している。
【二三区の目的別歳出構造の変化】 また、目的別の歳出構造の変化をみると、表31のとおりである。ここでも、民生事業の大幅な移管に対応する民生費の急増とその構成比の大幅な上昇とを指摘することができる。
 

表31 目的別歳出構造の比較(23区)

区 分昭和40年度昭和39年度A/B
(%)
決算額(A)構成比決算額(B)構成比
総務費
民生費
土木費
教育費
商工費
その他
合 計
20,273
21,054
25,077
34,300
1,978
6,878
109,560
18.5
19.2
22.9
31.3
1.8
6.3
100.0
17,404
4,897
18,820
30,455
1,533
9,658
82,767
21.1
5.9
22.8
36.8
1.9
11.5
100.0
116.5
429.9
133.3
112.6
129.0
71.2
132.4

(注) 『特別区決算状況概要』昭和40年度版による。普通会計。


 
 こうして、二十年代から三十年代の半ばにかけては、区役所費と教育費中心であった区の歳出構造は、三十年代の後半には、土木費の比重が増大し、さらに、四十年代に入ってからは、民生費の比重も上昇して、教育、土木、民生、総務の四つの経費を中心とする構造へと変わってきたのである。これは、区の歳出構造が一般市町村のそれへと接近してきたことを示している。
【港区の財政構造の変化】 最後に、港区の歳入歳出構造の変化をみることにする(表32、33、34)。港区の場合も、民生事業や教育事業の移管の影響が強くあらわれていることは同じである。四十年度の国庫支出金が前年度の三一倍に増大し、扶助費が二五倍もふえている。また、民生費も八五%の増を示している。その結果、国庫支出金の歳入構成比は〇・一%から四%に上昇し、扶助費の歳出構成比は〇・二%から五%へ、民生費のそれは一〇%から一五%へと増大した。ただ、その変化は二三区平均ほどは大きくない。これは、これらの新たに移管された行政にたいする需要が周辺区ほど大きくなかったためであろう。とはいえ、その変化はやはり顕著で、四十年度の民生費は土木建築費を上回るにいたっている。
 もう一つの目立った変化は、補助金等(表33)と納付金(表34)の大幅な減少である。この補助金等の大部分は納付金である。四十年度の納付金は三十九年度の約四分の三に減っている。しかし、二三区全体で、納付金が半分以下に減少しているのに比べれば、この減少率は高いとはいえない。その理由としては、前述の移管事業にたいする需要が二三区のなかでは相対的に低いことと、区税の伸びが二三区平均に比べて若干高いことをあげることができよう。
 

表32 歳入構造の比較(港区)

区   分昭和40年度昭和39年度A/B
(%)
決算額(A)構成比決算額(B)構成比
特 別 区 税
分担金及び負担金
使用料及び手数料
国庫支出金
都 支 出 金
繰  越  金
地  方  債
特別区交付金
そ  の  他
合   計
3,635
10
71
192
92
241
0
1
658
4,900
74.2
0.2
1.4
3.9
1.9
4.9

0.0
13.5
100.0
3,248
0
66
6
57
296
0
12
442
4,127
78.7

1.6
0.1
1.4
7.2

0.3
10.7
100.0
111.9
皆 増
108.4
3,080.1
159.6
81.4

5.7
148.8
118.7

(注) 一般会計。


 

表33 性質別歳出構造の比較(港区)

区  分昭和40年度昭和39年度A/B
(%)
決算額(A)構成比決算額(B)構成比
人 件 費
投資的経費
物 件 費
扶 助 費
補助金等
そ の 他
合  計
1,323
1,056
624
227
762
532
4,524
29.3
23.3
13.8
5.0
16.8
11.8
100.0
1,094
999
478
9
970
294
3,844
28.5
26.0
12.4
0.2
25.2
7.6
100.0
121.0
105.7
130.4
2488.1
78.5
181.1
117.7

(注) 普通会計。


 

表34 目的別歳出構造の比較(港区)

区  分昭和40年度昭和39年度A/B
(%)
決算額(A)構成比決算額(B)構成比
総 務 費
民 生 費
産業経済費
土木建築費
教 育 費
特別区納付金
そ の 他
合  計
817
686
100
676
1,246
674
365
4,564
17.9
15.0
2.2
14.8
27.3
14.8
8.0
100.0
747
371
67
673
1,039
899
90
3,886
19.2
9.5
1.7
17.3
26.8
23.2
2.3
100.0
109.4
184.9
149.7
100.4
119.9
74.9
406.1
117.4

(注) 一般会計。