【主要経費の変動要因】

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 次に、港区の目的別歳出の増減率をみると(表43)、前述の扶助費の伸びと関連して、民生費が四十五年度以降大きな伸びを示していることがわかる。ただ、この民生費をも含めて、表中の主要な経費の増減率は二三区平均よりもかなり変動が激しい。そこで、この変動の要因を簡単にみておこう。
【総務費】 まず、総務費であるが、四十七年度におけるその大きな伸びは、主として、公共用地取得のための港区開発公社業務委託金の増加によるもので、四十八年度は、この開発公社業務委託金の翌年度繰越しもあって増加率は低下した。また、四十九年度には、この開発公社業務委託金の増加と庁舎建設用地購入費の支出によって伸びが大きかった。
【民生費】 次に、民生費の場合、四十五年度の目立った伸びは、主として、保育園等の建設費と人件費の大幅な増加によっている。四十七・四十八年度における民生費の高い伸びが、老人医療費の無料化、生活保護費の増加、児童手当の支給等にともなうものであることはいうまでもない。
【土木建築費】 また、土木建築費の場合、四十四年度における伸びは、道路橋りょう費、とくにそのなかの受託事業費(港湾局所管道路整備)の増加の影響である。また、四十六年度の伸びが大きかったのは、主として、都市計画総務費中の土地取得費が増加したためで、これはまた、前年度からの繰越しが大きかったことによるものである。これにたいして、四十七年度の土木建築費が大幅に減少したのは、橋りょう新設改良費や受託事業費の減少と都市計画総務費の大幅減少が主な原因である。さらに、四十八年度も、前述したように、三四億二、五四〇万円の公園予定地購入費が翌年度へ繰り越されたことなどによって、その伸びは低かった。反対に、この繰越しによって、四十九年度の土木建築費は三倍ちかくも増大することとなった。
【教育費】 最後に、教育費の場合、四十二年度の伸びが大きかったのは、青年館建設費の支出があったからで、四十三年度はその分の減少と、中学校の校舎・体育館建設費の翌年度繰越しなどによって、前年度よりも減少している。また、四十八年度には、前に説明したように、教育センター建設費、小中学校校舎改築費、総合体育館建設費などの繰越しもあって、伸びが低下した。そして、その分だけ四十九年度の教育費は伸びが高まったことになる。
【大きい特定財源の変動】 このように、経費の増減は、その経費に充当される財源の都合によって左右されることが多い(表42)。四十七・四十八年度の国庫支出金の増加率の上昇は、老人医療費、生活保護費、児童手当等にたいする国庫負担金の増大の結果で、これが扶助費や民生費の増加率を高めたのである。また、区債発行の許可事務の遅れが事業の繰越しの大きな原因となっていることをみたが、四十六年度以降の区債の変動はきわめて激しかった。それがまた、区債を財源とする経費の増減を激しくした。
【区税の伸び】 もちろん、自主財源で、歳入の大きな部分を占める区税の伸びが重要であることはいうまでもない。歳入総額の伸びはこの区税の伸びに強く影響されることになる。たとえば、四十六・四十七年度と区税の伸びが増大するにつれて、歳入総額のそれも増大した。しかし、四十八年度に、区税の伸びが急激に低下すると、歳入総額のそれも急減した。区税の伸びは特定財源を充当される経費を含めて、全般的に経費の伸びに影響を与える。港区の区税の増加率は四十五年度以降増大し、しかも二三区平均よりも大きいが、四十八年度におけるその落ち込みも二三区平均より激しかった。
 前述の経費の増加率の変動に対応する歳出構成比の変化は表44・45のとおりである。
 

表44 性質別歳出決算額の構成比(港区)

区  分昭和
40
年度
414243444546474849
人 件 費
物 件 費
扶 助 費
補助費等
普通建設事業費
公 債 費
そ の 他
合  計
29.3
13.8
5.0
16.8
22.1
0.0
13.0
100.0
29.1
13.7
4.7
18.4
27.7

6.4
100.0
30.7
12.8
4.7
15.1
31.2

5.5
100.0
32.2
12.2
4.8
15.2
28.8

6.8
100.0
32.4
11.6
5.0
13.6
31.8
0.1
5.5
100.0
33.2
11.0
5.5
12.6
28.8
0.3
8.6
100.0
32.2
10.4
5.0
10.5
32.6
0.2
9.1
100.0
31.2
9.1
5.2
9.7
31.7
3.1
10.0
100.0
35.0
9.8
7.8
6.1
28.1
0.9
12.3
100.0
27.2
7.4
6.3
2.2
47.2
2.7
7.0
100.0

(注) 普通会計。


 

表45 目的別歳出決算額の構成比(港区)

区  分昭和
40
年度
414243444546474849
総 務 費
民 生 費
土木建築費
教 育 費
公 債 費
特別区納付金
そ の 他
合  計
17.9
15.0
14.8
27.3

14.8
10.2
100.0
16.7
15.4
16.0
30.4

16.3
5.2
100.0
15.9
13.5
17.1
38.1

12.6
2.8
100.0
17.5
15.8
18.1
32.3
0.0
11.8
4.5
100.0
16.1
14.2
20.7
34.5
0.1
11.1
3.3
100.0
16.0
17.3
18.8
32.5
0.3
9.9
5.2
100.0
15.7
17.2
21.9
30.2
0.3
8.0
6.7
100.0
22.5
17.5
13.1
28.7
3.1
7.1
8.0
100.0
22.5
20.3
12.7
27.8
1.0
3.2
12.5
100.0
26.8
15.9
23.2
24.2
2.9

7.0
100.0

(注) 一般会計。