【自然の保護と回復に関する条例】 豊かな緑を回復し、快適な生活環境をとりもどすために、緑化を含めた総合的な自然環境の保全が、積極的に取り組むべき都・区行政の重要な課題となってきたのである。このため東京都は、昭和四十七年(一九七二)十月、「東京における自然の保護と回復に関する条例」を制定し、知事・市区町村・事業者・都民それぞれの責務を規定するとともに、「自然の回復」のための施策として、「公共施設の緑化義務」「民間施設の緑化義務」「緑化区域の指定」「緑化協定」「農地の保存」などの具体策をかかげている。
【港区の緑化対策 港区緑化対策プロジェクトチーム 区内の緑の現況】 港区が区の重点事業の一つとして「緑化対策」をとりあげたのは、都条例制定の翌四十八年である。区長の「緑化対策の取り組み方の基本的考え方」にもとづき、昭和四十八年二月十七日の庁議で緑化の基本的考え方、区の役割の明確化、施策の体系化、必要かつ可能な基準設定などのため、緑化対策推進本部の設置を内容とする「港区緑化対策基本方針」を決定した。そして、同年四月十三日、区長を長とする同本部が設置され、同時に緑化対策の基本的事項を調査研究するため、「緑化対策プロジェクトチーム」が編成された。このプロジェクトチームは、同年十一月六日「港区緑化対策に関する報告書」をとりまとめた。同報告書による港区の緑の現状は次のとおりである。
(一) 区内には直径三〇センチメートル以上の樹木は七、八一七本ある。
(二) 樹木の種類はシイの木がもっとも多く、以下、イチョウ、ケヤキ、桜の順となっている。
(三) 直径五〇センチメートル以上の大木は一、六二二本で、イチョウの木が多い。
(四) 街路樹はイチョウが多く、地区別では新橋・港南方面に多くみられる。
(五) 区内の緑には地域的片寄りがあり、国立自然教育園、赤坂御用地、青山霊園、有栖川宮記念公園など
に樹木が多いが、新橋・芝の商業地域と芝浦・港南の旧埋立地には少ない。
(六) 樹木の健康度を一(瀕死)から四(良好)の四段階に分けると、区全体としては二・八三で、三(やや生
気なし)を下回っている。
表5 樹木数の所有者別ベスト30
単位:本
順位 | 所有者(名称) | 住所、備考 | 本数 |
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 〃 24 25 26 27 28 29 30 | 国立自然教育園 赤坂御用地 青山霊園 有栖川宮記念公園 芝公園 青山霊園立山墓地 神宮外苑前の街路樹 総理府迎賓館 高松宮邸 綱町三井クラブ 聖心女子学院 三光起業 氷川神社 旧芝離宮庭園 明治神宮外苑(バラ園) 慶応義塾大学 明治神宮外苑(樹林) 都立中央図書館 明治記念館の樹林 根津美術館の裏山 衆議院議長公邸 愛宕神杜 明治学院大学 東大医科学研究所 東禅寺 明治神宮外苑(樹林) 泉岳寺 日本銀行氷川分室 政府公舎第一公邸 明治神宮外苑(樹林) | 白金台5―21 元赤坂(東宮御所、宮邸を除く) 南青山2―32 南麻布5―7 児童会館、競技場等を含む。 南青山4―28 元赤坂2―1 高輪1―14 三田2―3 白金4―11 白金2―5 赤坂6―10 海岸1―4 北青山1―7 三田2―15 北青山1―5 南麻布5―7 元赤坂2―2 南青山6―5 高輪3―13 愛宕1―15 白金台1―2 白金台4―16 高輪3―16 北青山1―7 高輪2―11 赤坂6―19 三田2―1 北青山1―7 | 1,489 758 298 220 174 172 140 134 112 106 92 69 68 62 59 55 53 51 50 50 47 42 42 39 39 38 37 35 32 32 |
ベ ス ト 30 の 合 計 | 4,596 |
(昭和48年8月調べ)
【港区みどりを守る条例】 以上のような現状を掌握したあと、区は昭和四十九年六月二十八日、「東京都港区みどりを守る条例」を制定した。
港区は、現在この条例にもとづいて、環境部緑化対策係を中心に、積極的に緑化対策をすすめている。対策の概要は次のとおりである。