(四) 港区の水産業の動き

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【新漁業法の施行】 せばめられてきていた漁場に伝統的な生業を持続してきた水産業にも、戦後漁業制度を改革する新しい動きがすすめられた。昭和二十五年(一九五〇)三月新漁業法が施行され、漁業生産のための民主化が図られたのである。
 新しい制度は、従来の漁業権を改廃して、まったく新しい秩序のもとに、漁業制度をうちたてようとしたものである。
 いままで存在した漁業権は、二年以内に一律に消滅せしめ、同時に計画的に新漁業権の免許交付を行ない、整理によって消滅する旧漁業権の所有者にたいしては、政府が補償金を交付することにしたのである。
 当港区の免許の漁場は、いずれも東京湾内のもっとも奥に位置していたため、河口性浅海干潟という水産増殖に適した自然条件を備えていたのであるが、海運業の発達と臨海工業地帯の形成が漁場としての東京湾を犠牲にしたため、水産資源はわずかにみられるのにとどまっている。