(一) 港区の工業の推移と現況

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 港区の一般的な経済の動きについては、前述したとおりであり、日本経済の心臓部ともいうべき各種経済活動の場としての特徴がみられた。ここでは、資料にもとづいてより詳細にこれらの動きと現況をおってみた。
 まず、戦後の港区の工業事情についてながめてみると、工場数において昭和二十四年(一九四九)、六五三工場であり、これを一〇〇とすると昭和五十一年には二、三〇一工場で三五二の数値となる。
 同じ年度を従業員数でみると、昭和二十四年一万六、四一三人であったのが、昭和五十一年は四万六二六人で二四八という数値になっている。
 

表1 戦後の港区工業事情

年 次工場数(指数)従業員数(指数)出荷額(指数)
昭和
24年
25年
26年
27年
28年
29年
30年
31年
32年
33年
34年
35年
36年
37年
38年
39年
40年
41年
42年
43年
44年
45年
46年
47年
48年
49年
50年
51年

653(100)
573( 88)
1,098(168)
1,335(202)
1,438(220)
1,521(233)
1,579(241)
1,539(235)
1,711(262)
1,731(265)
1,683(258)
1,661(254)
1,582(242)
1,503(230)
2,100(322)
1,930(296)
1,833(288)
2,253(345)
2,119(325)
2,045(313)
2,356(361)
2,176(333)
2,014(308)
2,360(361)
2,129(326)
2,044(313)
1,950(299)
2,301(352)

16,413(100)
17,870(109)
21,076(129)
24,899(152)
28,157(171)
27,716(169)
30,307(185)
32,123(196)
36,434(222)
39,504(241)
43,089(263)
49,250(300)
49,104(299)
47,783(291)
52,820(322)
49,592(302)
48,978(298)
51,180(312)
49,399(301)
48,320(294)
53,184(324)
51,348(313)
48,387(295)
47,822(291)
43,895(267)
41,623(254)
37,062(226)
40,626(248)

4,924(   100)
10,018(   202)
21,177(   431)
23,596(   480)
28,530(   579)
34,975(   710)
37,725(   766)
45,717(   929)
59,006( 1,198)
60,432( 1,227)
71,234( 1,447)
92,393( 1,876)
104,586( 2,124)
116,458( 2,365)
124,487( 2,528)
131,433( 2,669)
132,374( 2,688)
155,913( 3,166)
176,596( 3,586)
194,580( 3,952)
237,220( 4,818)
290,256( 5,895)
309,098( 6,277)
339,789( 6,901)
380,882( 7,735)
467,937( 9,503)
478,999( 9,728)
548,052(11,130)

 
【港区の工業と省力化】 以上の二つの数値の差から従業員の少ない省力化工場が進出してきていることが指摘できるし、さらにそれを出荷額でみると、昭和二十四年を一〇〇とした場合、昭和五十一年は一万一、一三〇という指数を示しており、工業生産性が非常な勢いで高まってきていることが指摘できるだろう。これは物価上昇率を勘案しても、生産性の向上と省力化工場といった特徴をみせていることにほかならない。そのことは、次のように数値を並べてみると、いっそう明白となる。
 すなわち、昭和五十一年には、二十四年の数値にたいして、
   工場数………三五二→三・五倍
   従業員数……二四八→二・五倍
   出荷額………一一、一三〇→一一一倍
といった具合である。

安立電機工場―南麻布4丁目

【四人~九人工場の増加】 つぎに、規模別工場数の推移を昭和三十年を基準にしてながめてみると、事業所数全体では、昭和三十年、一、五七九事業所であったが、昭和五十一年には二、三〇一事業所となり、これは一・五倍となっている。ただし、三人以下の工場数では一・六倍と、全体の増加率とほぼ同数であるが、四人~九人の規模の工場が二倍に伸び、この規模の工場数の増加が著しいことが分かるし、あとはほぼ横ばいであった。
 ただ一、〇〇〇人以上の工場数では、昭和三十年にはゼロであったのが、昭和五十一年には六工場であるから、大工場が東京港の地の利を生かして進出してきたことがうかがえる。
 

表2 規模別工場数の推移

年次別事業所数規  模  別
3人以下4人~
9人
10人~
29人
30人~
99人
100人~
499人
500人~
999人
1000人
以上
昭和24年
25年
 
26年
 
27年
 
28年
 
29年
30年
31年
32年
33年
34年
35年
36年
37年
38年
39年
40年
41年
42年
43年
44年
45年
 
46年
 
47年
48年
49年
50年
51年
653
573
 
1,098
 
1,335
 
1,438
 
1,521
1,579
1,539
1,711
1,731
1,683
1,661
1,582
1,503
2,100
1,930
1,833
2,253
2,119
2,045
2,356
2,176
 
2,014
 
2,360
2,129
2,044
1,950
2,301


(4人以下)
460
( 〃 )
561
( 〃 )
555
( 〃 )
571
504
383
407
430
404
367
331
308
395
376
342
486
465
441
530
472
 
501 
 
661
571
569
615
790


(5~29人)
526
( 〃 )
651
( 〃 )
737
( 〃 )
795
464
486
515
475
446
444
443
408
797
766
744
922
868
872
1,036
991
 
879
 
1,037
967
941
840
944


(30~49人)
52
( 〃 )
54
( 〃 )
72
( 〃 )
82
436
480
558
580
565
555
519
517
606
516
493
577
519
481
534
485
(10人~19人)
321
(10人~19人)
356
402
367
351
407


(50人以上)
60
( 〃 )
69
( 〃 )
74
( 〃 )
73
134
156
186
203
215
239
234
209
234
214
194
207
202
188
194
166
(20人以上)
313
(20人以上)
306
141
120
108
117


 

 

 

 

37
30
40
37
48
47
48
52
60
49
49
51
56
53
53
53
 

 

40
39
29
34


 

 

 

 

4
1
3
3
2
3
2
4
4
5
6
5
4
5
3
3
 

 

3
3
2
3


 

 

 

 

0
3
2
3
3
6
5
5
4
4
5
5
5
5
6
6
 

 

5
5
5
6

 

表3 部門別工場数の推移

   種
   別



































































































































































































































 
昭和24年
 
653
 
78
 
4
 
11
 
21
 
31
 
4
 
56
 
21
 
 
 
5
 
5
 
*
7
**
168
 
76
 
119
 
35
 
7
 
 
5
 
25年
 
573
 
35
 
5
 
8
 
13
 
63
 
6
 
85
 
23
 
 
 
 
6
 
(〃)
12
(〃)
86
 
97
 
93
 
27
 
7
 
 
7
 
26年
 
1,098
 
65
 
6
 
15
 
48
 
153
 
17
 
152
 
20
 
 
 
4
 
6
 
(〃)
12
(〃)
195
 
136
 
161
 
36
 
5
 
 
6
 
27年
 
1,335
 
84
 
7
 
15
 
59
 
210
 
23
 
173
 
25
 
1
 
2
 
6
 
11
 
(〃)
21
(〃)
238
 
138
 
191
 
76
 
19
 
 
36
 
28年
 
1,438
 
90
 
10
 
15
 
69
 
219
 
24
 
177
 
25
 
2
 
1
 
6
 
12
 
(〃)
17
(〃)
294
 
138
 
188
 
77
 
23
 
 
51
 
29年
 
1,521
 
96
 
6
 
32
 
75
 
232
 
26
 
207
 
20
 
4
 
2
 
10
 
12
 
(〃)
26
(〃)
293
 
132
 
197
 
82
 
23
 
 
46
30年1,579956286825545196241488446225391231031
31年1,539101728702344619321216133212611542265826067
32年1,771115841782443925522319134192631812556835157
33年1,73111411327123547252251292242125418127510028047
34年1,68311210356423740265231271910122441802528835047
35年1,6611061028662183426824218195162391992498628055
36年1,58294629572093224422334167172251852578930053
37年1,50394627612003324420113164162241742407031038
38年2,10011013507724842480351711246212842033039031061
39年1,93098650652333045322249235152791862647636074
40年1,83389650522293142921248206142531832795734066
41年2,25312588574260435502227102172329722428861460100
42年2,1191189816624840528172811234203131932705635077
43年2,045118975672474151414266215152801922686035070
44年2,3561251089752413869820278285162942152935739096
45年2,176115878682313964616388237152991902574931085
46年2,014104673711992959211245247162971922484131080
47年2,360112790702263579417148269123031952755038088
48年2,129100671682013370414166246142871962254235089
49年2,04495471631912968515248206132691872283534086
50年1,95090273551893566413164214142251871943731075
51年2,30110277862198469141621072618232341712145231090

(注) *=非鉄金属のうち第一次金属,**=金属製品のうちの第二次金属。


 
【部門別工場数】 さらに、これら工場を部門別工場数の推移から詳細にみてみると、前述したように出版・印刷業と金属製品工業の発展には著しいものがある。
【都市型工業の成立】 とくに出版・印刷は、昭和三十年には一九六工場であったが、昭和五十一年には九一四工場となり、これは約七倍となっており、都市型工業の発達といった特徴をみせてきたことが指摘できる。