【港区教育研究会】 そして戦後のこの「混乱期」に子どもたちのかかえているさまざまな困難にたち向かって清新な教育実践の試みがなされた。こうしたなかで、昭和二十三年九月には港区教育研究会が発足し、実践の発表・交流などの催しを行なった。
【区立幼稚園】 区立幼稚園は、従来の四幼稚園(西桜・麻布・南山・中之町幼稚園)が昭和二十一年度中に再開園され、翌二十二年四月からいずれも港区立の幼稚園として再発足し、昭和三十年代に増園となるまで、長い間この四園だけであった。(増園についての経過は第二節を参照。)
【学校建築】 戦災校舎の復興、新制中学校の用地獲得・校舎建築がほぼ完了したのに続いて、校舎の増改築、雨天体操場建築、特別教室の整備へと漸次課題は移っていった。
表11 戦後初期の学校新改築一覧
昭和二十一年度
学校名 | 教室 | 坪 数 | 構 造 | 工事金額 | 着手年月日 | 竣工年月日 |
芝浦小学校 | 七 | 坪 二一一・九二〇 | 木造平家建砂付 ルウフイング | 円 五三九、一八九 | 昭和 二一・一二・ 一 | 昭和 二二・ 三・三一 |
昭和二十二年度
学校名 | 教室 | 坪 数 | 構 造 | 工事金額 | 着手年月日 | 竣工年月日 |
御田小学校 | 五 一 | 坪 一二一・五〇〇 三〇・二五〇 | 木造平家建 スレート葺 | 円 一六四、七八五 七九三、三七五 | 昭和 二二・一〇・二〇 二三・ 一・二〇 | 昭和 二二・一二・二八 二三・ 三・三一 |
神応 〃 | 六 | 一四四・二五〇 | 九五八、一六〇 | 二三・ 一・二〇 | 二三・ 三・三一 | |
計 | 一二 | 二九六・〇〇〇 | 一、九一六、三二〇 |
昭和二十三年度
学校名 | 教室 | 坪 数 | 構 造 | 工事金額 | 着手年月日 | 竣工年月日 |
本村小学校 | 一〇 | 坪 二四七・五七五 | 木造二階建瓦葺 | 円 二、四三九、〇〇〇 | 昭和 二三・一一・二六 | 昭和 二四・ 三・一九 |
青南小学校 (焼失跡修理) | 一四 | 三九九・八七〇 | 鉄筋コンクリート 三階建 | 七九八、〇〇〇 | 二三・ 三・ 一 | 二三・ 五・二〇 |
芝 小学校 | 六 | 二一九・二一〇 | 木造平家建瓦葺 | 二、〇三四、一五七 | 二三・ 八・一二 | 二四・ 三・三一 |
赤坂 〃 | 七 | 二二九・〇〇〇 | 木造二階建瓦葺 ラス張モルタル塗 | 二、三三五、九五五 | 二四・ 二・一五 | 二四・ 三・三一 |
城南中学校 | 六 | 二一一・〇〇〇 | 木造二階建瓦葺 | 二、〇九〇、〇〇〇 | 二四・ 二・一四 | 二四・ 三・三一 |
高松 〃 | 六 | 二三三・五〇〇 | 〃 | 二、三六七、四三二 | 二四・ 二・一四 | 二四・ 三・三一 |
計 | 四九 | 一、五四一・一五五 | 一二、〇六四、五四四 |
昭和二十四年度
学校名 | 教室 | 坪 数 | 構 造 | 工事金額 | 着手年月日 | 竣工年月日 |
港 中学校 | 一一 | 坪 三六九・〇〇〇 | 木造瓦葺二階建 ラス張モルタル塗 | 円 四、四二四、〇〇〇 | 昭和 二五・ 三・一五 | 昭和 二五・ 五・二五 |
高松 〃 | 八 | 二七〇・七〇〇 | 〃 | 三、一五一、九〇〇 | 二五・ 二・二四 | 二五・ 五・二五 |
城南 〃 | 一〇 | 三二一・二五〇 | 〃 | 四、二二〇、七八〇 | 二五・ 二・二七 | 二五・ 七・一四 |
神応小学校 | 五 | 一九〇・二九〇 | 〃 | 二、二九〇、〇〇〇 | 二五・ 二・ 七 | 二五・ 五・一九 |
御田 〃 | 七 | 二二八・六二九 | 〃 | 二、六七七、〇〇〇 | 二五・ 二・ 六 | 二五・ 四・一八 |
赤坂 〃 | 二 | 八四・八六〇 | 〃 | 九八六、〇〇〇 | 二五・ 一・二八 | 二五・ 五・一九 |
芝浦 〃 | 一〇 | 三一一・〇三〇 | 〃 | 三、五九五、四〇〇 | 二五・ 二・二七 | 二五・ 五・一八 |
計 | 五三 | 一、七七五・七五九 | 二一、三四五、〇八〇 |
昭和二十五年度
学校名 | 教室 | 坪 数 | 構 造 | 工事金額 | 着手年月日 | 竣工年月日 |
神応小学校 | 四 | 坪 一四五・九六〇 | 木造瓦葺二階建 ラス張モルタル塗 | 円 一、八二二、〇〇〇 | 昭和 二五・一〇・二五 | 昭和 二六・ 五・三〇 |
御田 〃 | 五 | 一六四・七九〇 | 〃 | 二、二六六、〇〇〇 | 二五・一〇・一九 | 二六・ 三・三一 |
芝 〃 | 六 | 一八三・三六〇 | 〃 | 二、三六五、三四四 | 二五・一〇・二四 | 二六・ 五・三〇 |
芝浦 〃 | 二 | 四八・四〇〇 | 〃 | 六二〇、〇〇〇 | 二五・一〇・二一 | 二六・ 三・三〇 |
港 中学校 | 六 | 一九四・三六〇 | 〃 | 二、七一六、〇〇〇 | 二五・一〇・二一 | 二六・ 三・三〇 |
高松 〃 | 六 | 一九一・三六〇 | 〃 | 二、六〇〇、〇〇〇 | 二五・一〇・二八 | 二六・ 五・三〇 |
城南 〃 | 四 | 一三九・六六〇 | 〃 | 一、八五〇、〇〇〇 | 二五・一〇・二八 | 二六・ 四・二七 |
計 | 三三 | 一、〇六七・八九〇 | 一四、二三九、三四四 |
昭和二十六年度
学校名 | 教室 | 坪 数 | 構 造 | 工事金額 | 着手年月日 | 竣工年月日 |
高松中学校 | 五 | 坪 一九四・二七〇 | 木造瓦葺二階建 ラス張モルタル塗 | 円 四、一五〇、〇〇〇 | 昭和 二六・一二・一四 | 昭和 二七・ 三・三一 |
城南 〃 | 四 | 一二七・三七〇 | 〃 | 二、七三八、〇〇〇 | 二六・一二・一五 | 二七・ 三・二三 |
朝日 〃 | 八 | 三七七・六八〇 | 〃 | 七、八二六、九〇〇 | 二七・ 一・二九 | 二七・ 五・三一 |
赤坂 〃 | 六 | 一九三・一三〇 | 〃 | 三、八三八、〇〇〇 | 二六・一二・一四 | 二七・ 三・一三 |
高輪台小学校 | 四 | 九三・二九〇 | 〃 | 四、六六四、〇〇〇 | 二六・一二・一九 | 二七・ 五・一六 |
計 | 二七 | 九八五・七四〇 | 二三、二一六、九〇〇 |
昭和二十七年度
学校名 | 教室 | 坪 数 | 構 造 | 工事金額 | 着手年月日 | 竣工年月日 |
高陵中学校 | 一〇 | 坪 四二九・六六〇 | 木造瓦葺二階建 ラス張モルタル塗 | 円 八、九二一、〇〇〇 | 昭和 二七・ 五・二〇 | 昭和 二七・ 八・三一 |
朝日 〃 | 六 | 一九二・三一〇 | 〃 | 四、五四四、五七五 | 二七・ 七・ 五 | 二七・一二・ 四 |
飯倉小学校 | 六 | 三一六・〇一四 | 〃 | 六、三一一、三〇〇 | 二七・一二・一二 | 二八・ 三・二〇 |
高陵中学校 | 八 | 二一五・九六〇 | 〃 | 七、六二三、〇〇〇 | 二八・ 三・一四 | 二八・ 六・二〇 |
計 | 三〇 | 一、一五三・九四四 | 二七、三九九、八七五 |
昭和二十八年度
学校名 | 教室 | 坪 数 | 構 造 | 工事金額 | 着手年月日 | 竣工年月日 |
芝浦小学校 | 九 | 坪 二五八・七二〇 | 木造瓦葺二階建 ラス張モルタル塗 | 円 七、〇五〇、〇〇〇 | 昭和 二八・ 九・二八 | 昭和 二九・ 三・ 三 |
青山 〃 | 六 | 二一〇・九四〇 | 〃 | 五、二五〇、〇〇〇 | 二八・一一・一六 | 二九・ 二・一七 |
赤坂中学校 | 一二 | 四八〇・六四〇 | 〃 | 一一、四八〇、〇〇〇 | 二八・一一・二五 | 二九・ 四・ 六 |
神応小学校 | 三 | 一一四・七六〇 | 〃 | 三、一九七、〇〇〇 | 二八・一二・ 三 | 二九・ 三・二三 |
港 中学校 | 四 | 一一七・一〇〇 | 〃 | 三、〇九八、〇〇〇 | 二八・一二・ 四 | 二九・ 三・二〇 |
城南 〃 | 四 | 一三三・六八〇 | 〃 | 三、四九八、〇〇〇 | 二八・一二・ 四 | 二九・ 三・三〇 |
飯倉小学校 | 六 | 一七九・八七二 | 〃 | 四、六四八、五〇〇 | 二八・一二・ 四 | 二九・ 三・二二 |
高松中学校 | 四 | 一二一・二五〇 | 〃 | 二、九九三、八〇〇 | 二八・一二・ 四 | 二九・ 三・二二 |
御田小学校 (雨天体操場) | ― | 八〇・〇〇〇 | 鉄筋コンクリート 平家建 | 二、五二五、〇〇〇 | 二八・一二・二八 | 二九・ 四・ 九 |
芝 小学校 | 一 | 一五・三五〇 | 木造瓦葺平家建 ラス張モルタル塗 | 四五〇、〇〇〇 | 二九・ 二・ 二 | 二九・ 三・二〇 |
朝日中学校 | 一 | 一六・〇〇〇 | 〃 | 三六九、〇〇〇 | 二九・ 三・一〇 | 二九・ 四・ 五 |
城南 〃 | 一 | 一六・〇〇〇 | 〃 | 三六九、〇〇〇 | 二九・ 三・一〇 | 二九・ 四・ 五 |
計 | 五一 | 一、七四四・三一二 | 四四、九二八、三〇〇 |
昭和二十九年度
学校名 | 教室 | 坪 数 | 構 造 | 工事金額 | 着手年月日 | 竣工年月日 |
朝日中学校 | 二 | 坪 五三 | 木造モルタル塗 二階建 | 円 一、五五五、二〇〇 | 昭和 二九・一二・一五 | 昭和 三〇・ 三・二四 |
高陵 〃 | 四 | 一二六 | 〃 | 四、二三〇、〇〇〇 | 二九・一一・三〇 | 三〇・ 三・ 九 |
赤坂 〃 | 二 | 四八 | 〃 | 一、二五〇、七〇〇 | 三〇・ 一・一一 | 三〇・ 三・三一 |
南海小学校 | 一五 | 新築 六三五 | 〃 | 一七、二三六、〇〇〇 | 二九・一二・ 七 | 三〇・ 三・三一 |
御田 〃 | 四 | 一三六 | 〃 | 四、〇二二、〇二〇 | 二九・一二・ 一 | 三〇・ 三・一〇 |
飯倉 〃 | 二 | 六八 | 〃 | 三、五二〇、〇〇〇 | 二九・一二・ 四 | 三〇・ 三・一三 |
東町 〃 | 六 | 新築 二八二 | 〃 | 八、四三八、四〇〇 | 三〇・ 三・ 七 | 三〇・ 七・ 四 |
神応 〃 | 六 | 一五七 | 〃 | 二、八二〇、〇〇〇 | 二九・ 四・ 八 | 二九・ 七・ 八 |
三光 〃 (雨天体操場) | 九三 | 鉄骨リブラス モルタル塗平家建 | 三、一四五、〇〇〇 | 二九・ 八・一七 | 二九・一一・一四 | |
青山中学校 | 二四 | 改造 九三七 | 鉄筋コンクリート 三階建 | 三、二四七、〇〇〇 | 二九・一二・一〇 | 三〇・ 一・二八 |
計 | 六五 | 二、五三五 | 五〇、四六四、三二〇 |
昭和三十年度
学校名 | 教室 | 坪 数 | 構 造 | 工事金額 | 着手年月日 | 竣工年月日 |
芝浜中学校 | 一六 | 坪 新築坪数 五二一 改築坪数 二四二 | 鉄筋コンクリート 造四階建 | 円 三五、一七三、五六〇 | 昭和 三〇・一一・一五 | 昭和 三一・ 五・一三 |
城南 〃 | 二 | 四八 | 木造モルタル塗 二階建 | 一、二三、七〇〇 | 三〇・ 五・ 二 | 三〇・ 八・ 九 |
高松 〃 | 二 | 四八 | 〃 | 一、八九〇、〇〇〇 | 三〇・一〇・一八 | 三一・ 一・二五 |
朝日 〃 | 二 | 四八 | 〃 | 三、〇八〇、〇〇〇 | 三〇・一〇・一七 | 三一・ 一・二四 |
東町小学校 | 六 | 二二五 | 〃 | 七、八〇二、〇〇〇 | 三〇・一〇・一一 | 三一・ 二・ 七 |
南海 〃 | 二 | 五二 | 〃 | 一、五七二、〇〇〇 | 三〇・一〇・一八 | 三一・ 一・一五 |
芝浦 〃 | 二 | 一四九 | 木造モルタル塗 二階建 | 四、七一五、〇〇〇 | 三〇・一一・一五 | 三一・ 二・一三 |
城南中学校 (雨天体操場) | ― | 一六〇 | 鉄骨リブラスモ ルタル塗平家建 | 五、五四七、八〇〇 | 三一・ 三・一四 | 三一・ 六・一一 |
高松中学校 (雨天体操場) | ― | 一六八 | 〃 | 五、五六六、〇〇〇 | 三一・ 三・一三 | 三一・ 六・一〇 |
南海小学校 (雨天体操場) | ― | 一一七 | 〃 | 二、八八九、〇〇〇 | 三〇・一二・二八 | 三一・ 三・三一 |
芝浦 〃 (雨天体操場) | ― | 一一一 | 〃 | 三、五八〇、〇〇〇 | 三一・ 三・一四 | 三一・ 六・一一 |
赤坂 〃 (雨天体操場) | ― | 九一 | 〃 | 二、六六四、〇〇〇 | 三〇・一二・二六 | 三一・ 三・三一 |
神応 〃 (雨天体操場) | ― | 一〇七 | 〃 | 二、八七七、〇〇〇 | 三一・ 一・一五 | 三一・ 三・三一 |
北芝中学校 | 二二 | 改造 九九六 | 木造モルタル塗 二階建 | 六、六五〇、三六〇 | 三〇・一一・ 一 | 三一・ 一・一六 |
計 | 五四 | 三、〇八三 | 八五、二三一、七二〇 |
表12 小・中学校教室、児童生徒増加状況 | |
教室増加状況 | (昭和三一・九・三〇まで) |
区 分 | 二二年 現在 | 増 加 数 | 三一年 現在 | |||||||
二三年 | 二四年 | 二五年 | 二六年 | 二七年 | 二八年 | 二九年 | 三〇年 | |||
小学校 中学校 | 570 18 | 37 12 | 24 29 | 17 16 | 4 23 | 6 24 | △7 (危険校舎 取コワシ分) 25 26 | 33 32 | 10 44 | 693 224 |
児童生徒増加状況
区 分 | 二二年 現 在 | 増 加 数 | 三一年 現 在 | |||||||
二三年 | 二四年 | 二五年 | 二六年 | 二七年 | 二八年 | 二九年 | 三〇年 | |||
小学校 中学校 | 15,025 1,863 | 2,173 1,420 | 2,791 1,630 | 2,923 972 | 1,909 535 | 57 1,015 | 441 974 | 1,435 485 | 771 602 | 27,291 11,183 |
こうして小・中学校とも、一応普通教室の整備をみる一方、港区では小学校児童数の漸減傾向が生まれ、中学校も、昭和三十四年度までは同じく漸減傾向にあり、特別教室の整備・充実とともに施設内容の向上に力を注ぐことができるようになってくる。
教育条件の、質・量両面での充実をおしすすめ、子どもたちの「教育を受ける権利」(憲法二六条)を充実させる方向で、この時期の改革の努力にふくまれている熱意と創意性をどう発展させていくかが、その後の課題であったといえよう。