(1) 成人学校

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 本区における成人学校は、昭和二十五年に桜川小学校で実施されたのをそのはじまりとしている。したがって、港区の成人学校は、すでに四分の一世紀をこえる歴史をもっているのである。成人学校は、昭和四十年代初頭まで、年三回を基準に、一回が普通一五日間で修了するようプログラムを組み、夜六時三十分から八時三十分までの二時間、区立小・中学校、図書館、福祉会館などを会場として行なわれたのである。ちなみに、昭和二十五年度から同四十三年度までの、成人学校で実施された科目と回数を掲げれば、表30のとおりである。
 

表30 成人学校実施科目一覧(昭和25年度~43年度)

科    目回数
料理
手芸
英会話
ペン習字
話し方
書道
絵画
謄写技術
洋画
コーラス
ウクレレ
版画
郷土史
レタリング
和裁
8ミリ
俳句
法律
珠算
家庭の染色法
心理学
自動車修理
子どものしつけ
文学
看護法
ローケツ染
人形の作り方
家庭の医学
電気・家庭問題
囲碁
写真
家庭のあんま
親子研究
家庭の経済
テレビの技術
レクリエーション
美容研究
和文タイプ
子どもの性教育・産児制限
計算尺の使い方
ラジオの原理と修理
図案
43
28
28
22
21
17
15
14
11
9
5
6
6
6
4
4
5
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3
3
3
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2
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2
1
1
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1

 
 この表に明らかなように、成人学校で開設された科目のなかでもっとも大きな比重を占めるのは、料理や手芸などに代表される日常生活に密着した、いわゆる実用的講座であり、知的な教養科目には区民の参加が必ずしも十分ではないのが、昭和四十年代初頭に至るまでの状況であった。そうした成人学校の性格は、今日に至っても基本的に変化していない。
 しかしそれは、次にのべるように、昭和四十六年から発足した成人大学や成人セミナーの開設によって一般教養的性格を帯びたものが、これら二つの講座に移されたことを主たる原因としているのであり、成人学校が、区民の教養を高めるための努力を放棄したことを決して意味するものではない。
 たとえば表31が示すように、昭和五十年度からは、「郷土史」の講座が設けられているのであり、それは、区民の間に、「失われていく文化財に対する関心が高まっている」ことを正しくとらえ、そうした区民の知的要求にこたえようとしたものである。
 

表31 成人学校の講座科目と参加者数

場 所科 目回数参加者数

1
港区青年館書道10135265
郷土史10252348
赤坂図書館水彩画1092837
将棋10111324
4科目58116174

2
高輪図書館奇術1021930
手芸1003333
近代文学の流れ1071421
港区青年館古典文学1083745
版画10172845
5科目53121174
合   計9科目111237348

 
【社会教育会館の開設】 なお、先にも触れたように、港区の成人学校は古い歴史をもち、積極的に展開されてきたのであるが、それらの活動を確実に保障していくための専用の施設を従来もたないことが大きな問題であった。したがって従来、成人学校の運営は、すでに建設されていた青年館をはじめとして、区内の図書館、小・中学校などを利用して行なわれてきたのである。しかし、昭和五十年四月に、青山社会教育会館が建設されたために、成人学校は、この社会教育会館と青年館を会場にして運営することが可能となった。

成人学校の書道教室(青山社会教育会館にて――昭和52年7月)

 青山社会教育会館は、港区社会教育委員会議答申「港区における社会教育施設の基本計画」(昭和四十八年三月)にもとづき、南青山四丁目の地に、鉄筋コンクリート造り三階建てで建設されたものである。なお、同会館は階下に幼稚園を併設しているために、社会教育会館としての専用部分は二階の半分と、三階である。同会館の概要およびその利用状況は表32のとおりである。
 

表32 青山社会教育会館利用状況

室   名定員人用   途利用人員
団体個人合計
図 書 室22621,58321,583
談 話 室381,4321,432
学習室(1号)320各種の学習教室,講習,
サークル活動など
1,7841,784
学習室(2号)342同 上1,9141,914
学習室(3号)320同 上745745
学習室兼レクリ
エーションホール
380同 上5,2475,247
合   計9,69023,01532,705