家庭教育学級は昭和三十九年、家庭教育相談(「かもめ通信」)は昭和四十八年度にそれぞれ発足している。
家庭教育学級、家庭教育相談はいずれも、子どもをもつ親の家庭における教育のありかたについて指導・助言を行なうことを目的とするものであり、家庭教育学級は、主として幼稚園児以上の子どもを持つ親を対象に学級を開設しているのにたいし、家庭教育相談は三歳児を持つ保護者を対象に、月一回の葉書による通信相談と、しつけ相談(スクーリング)を行なう形式をとっている。
家庭教育学級と家庭教育相談は、右に見られるように、その対象と形式において確かに異なるものであるが、しかし、両者はいずれも「子どもの勉強のさせ方」とか、「子どものしつけの方法」というような単なる「ハウ・トゥーもの」を行なうことにその目的があるのではなく、家庭の本来的なあり方、家庭教育の本来的なあり方などの、いっそう本質的問題を基本にすえた指導を、教育学や心理学の専門家の手をとおして行なうことを目ざしているのである。とくにこうした方向は、こんにちますます一般化している核家族化現象のなかで、家庭において育児にも、教育にも不安な毎日を送っている母親にとって重要な意味をもっている。
また、今後はさらに、母親だけではなく、家庭教育の担い手の一人である父親の学級参加の方法・内容、幼児同伴を可能とする保育体制を確立することなどが十分に検討されるべき課題となっている。