(四) 視聴覚教育

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 戦後港区における視聴覚教育は、昭和二十三年から開始された、すなわち、連合国総司令部(GHQ)は、日本占領政策の一環として発声一六ミリナトコ映写機を貸与するとともに、CIE(民間情報教育局)教育映画を提供したが、当時港区ではこの映画を社会教育課社会教育係を通じて上映したのである。CIE教育映画は確かに、一般成人の啓蒙と民主化を図ることを目的としていた点において、当時にあっては重要な意味をもつものであったが、それはこんにち行なわれているような、港区独自の、主体的な活動とはいいえないものであった。
 港区においては、しかしその後、社会教育活動における視聴覚教育の意義をふまえ、とくに、昭和三十五年度から、一六ミリ教育映写機操作技術講習会を発足させたのに象徴されるように、区独自の活動を積極的に展開することになったのである。
【一六ミリ発声映写機操作技術講習会】 一六ミリ発声映写機操作技術講習会(昭和四十九年度から、一六ミリ発声映写機操作講習会と改称)は、一六ミリ発声映写機を利用して、社会教育活動を行なうために必要な知識と技術を研究・習得し、視聴覚教材・教具の完全な活用と円滑な運営をはかることを目的として発足し、以来毎年定期的に開催されているのであって、講習会修了者には、「一六ミリ発声映写機操作講習修了証」を発行している。なお、この「修了証」の発行事務は、昭和四十三年度から東京都から区に移管されるとともに、各都道府県で取得した映写技術に関する「認定証」も、区で書き換えることが可能になった。「講習修了証」交付状況は表44のとおりである。
 
表44 16ミリ映写機操作講習修了証交付状況
 
 昭和43年度
勤 務 先年 代 内 訳
学 校官公署社会教育
団体他
10代20代30代40代50代60代


11人
32 
43 
44人
9 
53 
12人
9 
21 
67人
50 
117 
1人
3 
4 
28人
35 
63 
20人
7 
27 
15人
4 
19 
2人
1 
3 
1人
0 
1 

 

 昭和44年度

勤 務 先年 代 内 訳
学 校官公署社会教育
団体他
10代20代30代40代50代60代


43人
47 
90 
62人
26 
88 
27人
6 
33 
132人
79 
211 
4人
2 
6 
63人
51 
114 
38人
18 
56 
21人
6 
27 
5人
2 
7 
1人
0 
1 

 

 昭和45年度

勤 務 先年 代 内 訳
学 校官公署社会教育
団体他
10代20代30代40代50代60代


13人
55 
68 
64人
19 
83 
67人
9 
76 
114人
83 
227 
4人
40 
44 
61人
34 
95 
42人
5 
47 
31人
3 
34 
5人
0 
5 
1人
1 
2 

 

 昭和46年度

勤 務 先年  代  内  訳
学 校官公署社会教育
団体他
10代20代30代40代50代60代70代


13人
11 
24 
83人
32 
115 
53人
21 
74 
149人
64 
213 
2人
2 
4 
55人
43 
98 
40人
10 
50 
46人
8 
54 
4人
1 
5 
0人
0 
0 
1人
0 
1 

 

 昭和47年度

勤 務 先年  代  内  訳
学 校官公署社会教育
団体他
10代20代30代40代50代60代70代


4人
10 
14 
81人
14 
95 
66人
27 
93 
151人
51 
202 
2人
0 
2 
41人
27 
68 
50人
12 
62 
37人
7 
44 
15人
4 
19 
5人
1 
6 
1人
0 
1 

 

 昭和48年度

勤 務 先年 代 内 訳
学 校官公署社会教育
団体他
10代20代30代40代50代60代
 男 

11人
16 
27 
71人
21 
92 
62人
57 
119 
144人
94 
248 
1人
0 
1 
59人
27 
86 
37人
19 
56 
32人
10 
42 
8人
1 
9 
7人
0 
7 

 

 昭和49年度

勤 務 先年  代  内  訳
学 校官公署社会教育
団体他
10代20代30代40代50代60代70代


13人
14 
27 
54人
18 
72 
52人
22 
74 
119人
54 
173 
0人
1 
1 
35人
37 
72 
36人
7 
43 
32人
5 
37 
7人
5 
12 
3人
2 
5 
2人
1 
3 

 

 昭和50年度

勤 務 先年 代 内 訳
学 校官公署社会教育
団体他
10代20代30代40代50代60代


4人
12 
16 
39人
13 
52 
40人
13 
53 
83人
38 
121 
1人
0 
1 
27人
19 
46 
30人
13 
43 
18人
5 
23 
5人
1 
6 
2人
0 
2 

 

 昭和51年度

勤 務 先年 代 内 訳
学 校官公署社会教育
団体他
10代20代30代40代50代60代


12人
29 
41 
45人
14 
59 
36人
7 
43 
93人
50 
143 
1人
0 
1 
41人
28 
69 
30人
18 
48 
17人
4 
21 
4人
0 
4 
0人
0 
0 


16ミリ映写機操作講習会(昭和52年7月――青山社会教育会館)

 教育委員会が所有している社会教育用の一六ミリ発声映写機、同映画フィルム、スライド映写機、同フィルム、紙芝居などの視聴覚教材・教具は、社会教育団体、学校、官公署などに無料で貸し出されている。
 昭和五十二年三月三十一日現在、教育委員会に登録されている映写機は、学校五三台、官公署六三台、社会教育団体一九台の合計一三五台である。
 なお、昭和五十二年三月三十一日現在の貸出教材・教具一覧および昭和四十三年以降の一六ミリ映写機、フィルムの貸出し状況は、表45のとおりである。
 
表45 貸出教材・教具(社会教育関係)(昭和52年3月31日現在)
 ① 貸出計
フィルム本数      三四八本映写機          一一台
スクリーン        一一枚
スライド映写機       二台
スライドフィルム    五〇〇本
紙芝居          三〇篇
暗幕            八枚





社会教育映画    一一〇本
記録映画       二四本
劇映画        三七本
動画人形劇映画    六四本
交通安全映画     二八本
東京ニュース     七六本
スポーツ        九本

 

 ② 一六ミリ映写機貸出状況

  年度
貸出先
四三四四四五四六四七四八四九五〇五一
幼稚園七台六台七台一二台一一台一二台一一台一一台一三台
小学校一 五 一 五 四 三 四 一 〇 
中学校一 〇 三 〇 二 〇 五 〇 〇 
高 校一 二 三 四 三 二 一 一 三 
PTA〇 三 一 一 四 一 七 六 〇 
官公署四二 三九 四〇 四六 四八 四五 二五 五二 四〇 
こども会七 一四 一五 一八 一三 一二 二三 二六 一一 
青年団体一〇 一六 一七 二四 二六 一六 一二 一五 一 
婦人団体四 〇 三 四 七 二 一 一 二 
町 会二七 一二 一二 一〇 一九 二五 二二 二八 一三 
会 社一八 三八 二一 二六 二八 二一 一九 二四 三五 
その他二九 三一 一〇四 一一二 八一 七五 一一九 
一一八 一三四 一五二 一八一 二六九 二五一 二一一 二四〇 二三七 

 

 ③ 一六ミリフィルム貸出状況

  年度
貸出先
四三四四四五四六四七四八四九五〇五一
幼稚園五五六四六六一二〇八五八九八二八〇一一八
小学校一三三九四六〇八四六八六五三三三七四五
中学校一九四〇三二三一六三三〇三八
高 校二四三〇二三一五二〇
PTA三七二七一六二三一一六五三四二七
官公署一一九八四一六八一一八一八三二三三一三九一六七八七
こども会一六六三六九一七七七五五一九一八五四六
青年団体一三二八四一三一四五二三二〇二四
婦人団体三四一七一六三五二七一六一七
町 会七四三七三七五一六七七〇七四七一五七
会 社一二四六六五一四〇一四〇七八五七五一一二〇
その他八二一七九三四一二九四一九五一五一一一九
五三六四七八六八四九三九一、一〇二九七二八二三七四九九二三

 
 右の表に見られるように、貸出件数は映写機、フィルムのいずれについても、昭和四十七年度をピークに減少傾向を示しているが、昭和五十一年度に至って再び増加を示している。これは、社会教育活動が活発になり、地域活動のために、計画的に活用する利用者(団体)や学習の教材に利用するグループが増加してきたことによるものである。
 あらためていうまでもなく、視聴覚教育活動本来の任務が、単に機器・機材等の貸し出しだけにあるのではなく、そうした仕事が視聴覚教育の内容的吟味と密接に関連し合いながらすすめられねばならないものである。そのような意味において、港区社会教育行政当局が視聴覚教育の今後の本質的あり方について次のようにのべていることは重要な意味をもつものと思われる。
 
   これからの視聴覚教育は、(中略)社会教育における視聴覚ライブラリーの役割を単に教材や教具の貸出しにとどまらず、利用についての指導、助言、研修のほかに、情報資料の作成や提供、研究等の必要な機能を総合した「視聴覚センター」に脱皮すべきであろう。そのためには、早急な専門施設の建設や設備の充実とともに専門職員の配置、指導者の研修や養成の努力がなされなければならない。