(六) 社会体育

1244 ~ 1249 / 1465ページ
 港区の社会体育行政は、すぐれた歴史をもっている。すなわち、港区では昭和二十二年十月に港区体育会が結成され、昭和二十三年の第二回都民体育大会では、男女総合優勝の栄冠を獲得し、また、同第一〇回大会では、男子の総合優勝を果たしているのである。全国レベルにおいても第五回国民体育大会(昭和二十五年)では、体育の優良団体として文部大臣から、また、昭和二十九年には、財団法人レクリエーション協会総裁から、レクリエーションを模範的に実践した優良団体として、それぞれ表彰を受けているのである。
 そうした実績は、港区の社会体育行政が戦後一貫して、区民の健康維持・増進、体力向上に積極的にとりくんできたことを示すものである。しかし、昭和三十年代中葉までの社会体育は、右に示されるような情熱を内に含みつつも、必ずしも、区民の体育についての基本的指導理念が確立され、実際の指導を組織的に推進していく体制にあったわけではなかった。つまり、当時にあっては、区民に運動施設を提供・確保することによってスポーツを奨励していくというレベルを大きく超ええない状況にあったのである。
 そうした状況が大きく転換し、区民のスポーツへの要求を積極的かつ正確にとらえ、しかもそれを体育という形態を能う限りとりながら、系統的に指導する体制が本格的にとられるようになったのは、昭和三十六年以降のことである。すなわち、港区では昭和三十六年に制定されたスポーツ振興法にもとづいて、教育委員会内に体育指導委員をおくことになったのである。また、昭和三十九年のオリンピック東京大会決定などがスポーツにたいする国民の関心を急激に高めたのであった。
【体育の日】 体育指導委員は、教育委員会の非常勤の職とされ、社会的信望があり、スポーツに関する深い関心と理解をもち、あわせて、その職務を行なうのに必要な熱意と能力をもつ者のなかから教育委員会によって任命されている。さらに、昭和四十一年には「体育の日」が十月十日として制定されたのにともなって、体育にたいする区民の関心は年をおって高められるに至った。
 さらに、従来港区の社会体育の中心的存在であった港区体育会も、区内のスポーツに熱心な人々の協力により、昭和四十年四月から、財団法人東京都港区体育協会へと発展的に解消し、従来よりもさらに強力な港区の社会体育の推進機関となったのである。この体育協会は、法人組織のスポーツ団体としては東京都では最初のものであり注目された。昭和五十一年度の時点での同協会加盟団体と登録会員数は、次表のとおりである。
 

表49 港区体育協会加盟団体と登録会員数

港区軟式野球連盟   三、七八四
 〃軟式庭球連盟     三一八
 〃卓球連盟       五八五
 〃バレーボール連盟   六〇五
 〃バスケットボール連盟 三八七
 〃バドミントン連盟   三五〇
 〃クレー射撃連盟     三一
 〃柔道会        三二五
港区剣道連盟       六六五
 〃弓道連盟        八六
 〃ライフル射撃連盟    三〇
 〃氷上連盟       三一七
 〃アーチェリー協会    七六
 〃なぎなた連盟     一四五
 〃釣魚連合会    一、〇一〇
 〃フォークダンス協会   九九
港区民謡・舞踊連盟    四九二
 〃スキー連盟      一九五
 〃スポーツ少年団本部  九一八
 〃中学校体育連盟    一〇〇
 〃空手道連盟      一四五
 〃野外活動協会      六九
 〃硬式庭球連盟     一三〇
 〃ローラースケート連盟 一四八

 
【スポーツセンターの開館】 ところで、港区における社会体育は、右にのべたように、区教育委員会、体育指導委員、財団法人東京都港区体育協会の三者が一体となって推進されているが、そうした活動を十分に保証するためには、区民のための専用体育施設が不可欠である。たとえば昭和四十一年以降、バスケットボールやバレーボール、バドミントン等を中心とするスポーツ教室は、初心者を対象に初歩的実技、マナーなどの指導を継続的に実施しているのであるが、それらは結局、専用の体育施設がないために、区内の小・中学校の体育館などを会場とせざるをえなかったのである。したがって、区民のための総合的なスポーツ施設の建設は、社会体育行政者、体育関係団体はもちろんのこと、区民にとっても永年にわたり切望されるものであった。昭和五十年三月一日に開館されたスポーツセンターは、まさにそうした区民の熱意と要望にこたえようとしたものである。
 同スポーツセンターは、国電田町駅東口際に位置し、鉄筋コンクリート造り、地下一階地上六階建てで、延面積一万四二二九平方メートルを有し、二三区の体育館中最大規模を誇っている。このスポーツセンターは、施設面においてもただ単にスポーツの場としてのみとらえられるのでなく、スポーツを通じて区民のコミュニケーションが図られたり、レクリエーションができるような場、すなわち「区民のだれもが気軽に楽しみながら利用できる」スポーツ施設という基本理念にもとづいて建設され、その運営にあたっても次のような特色をもっている。それはまず第一に、区民の利用を優先するために、「利用者登録制度」をとり、区民だけが登録できるシステムをとっていることであり、第二に、センターの施設は、第一競技場は団体を中心に、プール、第二競技場、トレーニングルームは個人利用を中心に、第三競技場、第一~第三武道場は定期練習会、区主催のスポーツ事業および自主グループ利用を中心にと、幼児から中高年齢層にいたるまで幅広く利用されることを意図しており、しかも特筆すべきは、身体障害者もバスケットボール、プール、卓球、洋弓などを利用できるように配慮されていることである。そして第三に、既存の体育館とちがい個人もできるだけ多く利用できるようなスポーツ施設として、より現実化するために、毎月第一・第三日曜日を「区民無料公開の日」と定め、区民に開放していることである。
 なお、スポーツセンターの利用状況を示せば、表50のとおりである。
 以上、港区における社会体育のあゆみを概観したが、こんにちの本区における社会体育の状況を示せば表51~53のとおりである。
 
表50 スポーツセンター利用状況および利用者登録状況
(昭和五十二年三月末現在)
 ①利用状況
       年度
利用者別
五十一年度
個人利用二〇九、九三五(人)
定期練習会三一、〇〇一  
区民無料公開日二一、四〇一  
その他の体育事業一一、七二九  
体育協会七、三七三  
団体利用三六、〇六〇  
総  計三一七、四九八  

 

 ② 利用者登録状況

登 録 種 目件 数

在 住 者三三、七七七(人)
在 勤 者二五、八九八  



卓 球一六二(団体)
バスケット一五五   
バドミントン一二三   
バレーボール二六一   
水 泳三二   
武 道四三   
体操・ダンス一五   

 

表51 昭和五十一年度に実施した講習会

講 習 会場   所期   間参加者
(延人数)
スキー講習会

キャンプ講習会
バスケットボール講習会
山形県蔵王スキー場
長野県高峰高原スキー場
秋川渓谷
港区立青山中学校
一月一日~一月六日、二月三日~二月八日
二月十八日~二月二一日
七月二三日~七月二五日
一〇月二八日~一一月一八日
三一二
一一〇
五五
二一五

 

表52 昭和51年度に実施した各種教室

教 室 名場   所期      間延日数参加者数
(延人数)
ゴルフ港区立三河台中学校 5/16~ 6/13,10/24~11/2110日595人
軟式庭球港区立麻布庭球場  〃     〃569 
バドミントン港区立青山中学校 6/ 4~ 6/30,10/ 1~10/2916日684 
卓球港区立鞆絵小学校 5/18~ 6/10, 9/28~10/26474 
アーチエリー港区スポーツセンター 5/26~ 6/18,11/ 5~12/ 1545 
初心者水泳   〃 5/21~ 6/ 4, 2/23~ 3/1612日675 
婦人水泳   〃  〃  11/12~12/ 3776 
婦人スポーツ   〃 6/29~ 7/23,11/16~12/17
 2/ 8~ 3/15
27日1,429 
ダンス港区勤労福祉会館11 /5~12/ 3 8日535 
高齢者港区スポーツセンター 9/15~10/20, 3/ 2~ 3/3010日389 
トリム   〃 7/20~ 7/30, 1/11~ 1/2614日613 
トレーニング   〃10/22~12/17 9日596 
運動不足解消   〃 2/ 1~ 3/29 8日447 
肥満児   〃 1/23~ 2/27 6日371 
母と子の体操   〃10/22~11/ 9431 
チビッコスポーツ   〃 5/18~ 7/16, 9/14~10/29
11/12~11/30, 1/11~ 3/ 8
73日4,896 

 

表53 昭和51年度定期練習会

 会場
曜日
スポーツセンター定期練習会愛宕体育館
定期練習会
氷川柔道場
定期練習会
檜町弓道場
定期練習会
時 間種 目参加者数
午後3:30~5:30
午後3:00~8:30
   〃
   〃
   〃
剣道(子供)
剣道(一般)
モダンダンス
合気道
和弓
 4,337名
 5,486
 1,213
 1,182
 1,112
毎週 月曜日
  ・木曜日

午後3時~5時

子供剣道

参加者数

   4,671名

午後3時~6時
   (少年)

午後6時~9時
   (一般)

柔道

参加者数

   9,950名
午後6時~
  8時30分

和弓

参加者数

   4,932名


午前10:00~正午
午後6:00~8:30
   〃
婦人体操
民踊
バドミントン
 3,323
 1,926
 1,872
午後6:00~8:30
   〃
剣道(一般)
民謡
  ―
 1,042
午後1:00~3:00
午後3:30~5:30
午後6:00~8:30
   〃
   〃
   〃
婦人体操
剣道(子供)
バレーボール
卓球
空手
洋弓
  ―
  ―
 2,083
 1,562
 1,110
  407
午後1:00~3:00
午後3:30~5:30
午後6:00~8:30
   〃
柔道(子供)
なぎなた(子供)
柔道(一般)
なぎなた(一般)
 2,007
  857
 1,012
  962