保険料は定額保険料のほかに所得比例の意味をもつ付加年金が四十五年一月から制度化され、任意に付加保険料(四十五年十月から四十八年十二月までは三六〇円、それ以後は四〇〇円)を納めれば、給付のさい付加年金が受給できる。
生活保護をうけているとか、その他経済上の理由などで保険料が支払えない場合には、免除制度がある。本区内の免除者数は、昭和四十九年度ごろまでは七~八〇〇人前後で大きな変化はなかったが、五十年度から増大して五十年度一八二三名、五十一年度は二四八四名となった。
【国民年金の給付の種類】 国民年金の給付は表7のように八種類にわたり、年金額も記載のとおりだが、月あたり平均では三~四万円となる。制度発足以来、年金額も漸次引き上げられたが、四十八年からは物価スライド制もとりいれられている。だが、「生活できる年金」には、なお隔たりがあるといわなければならない。
表7 国民年金の給付種類
種 類 | 受 給 要 件 | 年 金 額 |
老齢年金 | 二五年以上保険料を納めた人が、六五歳になったとき((注)昭和五年四月一日以前に生まれた人は、年齢に応じて一〇年から二四年間保険料を納めればよい) | (1)二五年納付四二六、七〇〇円(昭和五二年七月一日から) (2)付加保険料を納めた人には付加年金が支給される。 |
通算老齢年金 | 他の公的年金期間と保険料納付期間を合わせて、二五年以上で、六五歳になったとき((注)は老齢年金と同じ) | |
障害年金 | 国民年金に加入し保険料を納めている人がけがや病気により国民年金法別表に定めた障害に該当したとき。なお、昭和五一年一〇月一日から他の制度との通算が認められた。 | 一級五四一、五〇〇円 (昭和五二年七月一日から) 二級四三三、二〇〇円 (昭和五二年七月一日から) (最低保障額) |
母子年金 | 夫が死亡し、一八歳未満(二〇歳未満の二級以上の障害者)の子がいるとき | 四三三、二〇〇円 (昭和五二年七月一日から) 第二子二四、四〇〇円 第三子から四、八〇〇円加算 |
準母子年金 | 生計中心者の男性と死別し、一八歳未満(二〇歳未満の二級以上の障害者)の孫、弟妹がいる女子の加入者 | |
遺児年金 | 国民年金に加入していた父または母と死別した一八歳未満の孤児。なお、昭和五一年一〇月一日から他の制度との通算が認められた。 | |
寡婦年金 | 老齢年金を受ける資格のある夫が年金を受けずになくなったとき、その妻に六〇歳になるまでの間支給 | 夫の受ける年金の二分の一 |
死亡一時金 | 保険料を三年以上納めた人が年金をもらわずに死亡したとき | 保険料納付済期間 二〇年未満二三、〇〇〇円 二〇年以上期間に応じ 最高五二、〇〇〇円 付加年金加算額 (三年以上納付)八、五〇〇円 |
このうち老齢年金については、まだ二五年間の資格を満たす受給者はおらず、十年年金あるいは五年年金の受給者と資格期間が短縮された人たちで、この人たちが実際に受け取っている年金額は、いずれも表記の年金額より低くなっている。しかしながら、五十一年からは資格期間の短縮されている人たちとはいえ、強制適用加入者の年金受給がはじまっており、「国民皆年金」時代に一歩を踏みいれたといえよう。
国民年金への加入は、本人の届出が必要なために、本人からの届出がないかぎり加入できない。とくに港区の特性である住民の高移動率、中高層住宅立地の急増、短期居住住民の増加などのため適用者の加人には困難が多い。
【本区の年金加入促進策】 このため本区では加入促進のために種々の方策を設けている。たとえば、国民健康保険加入者の台帳によって対象者を調べ、往復はがきやその他の文書で制度の説明を行ないながら繰り返し加入の届出をすすめている。とりわけ、三四~五歳で加入後の資格期間が局限されている人たちには再度加入を促すなどの努力も講じている。
また、加入後に保険料が未納となると、その期間が資格期間から除かれるので、その防止策として預金口座からの自動振替えによる納付を勧奨するなど各種の対策を行なっている。昭和五十一年末には約二〇%の加入者が、自動振替制度を利用するようになった。