(1) 心身障害者の福祉

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【心身障害等福祉対策三法の制定】 心身障害者の対策では、身体障害者福祉法が昭和二十四年(一九四九)に制定され、その後、昭和三十五年に精神薄弱者福祉法が制定されている。そして、その他の心身障害者も含めて障害者の全体を包含する目的で、心身障害者対策基本法が制定されたのは、昭和四十五年五月二十一日であった。
 このように心身障害者の福祉対策は、どちらかといえばゆっくりとしたものであり、対策基本法の成立で、今後は内容の充実に重点がおかれることになった。
【区内の心身障害者数】 港区の心身障害者の数については、正確な数字はつかめないのが現状である。精神薄弱者の登録は五十二年三月現在で三五六名となっている。しかし、精神薄弱者の出現率は人口全体のほぼ〇・五%といわれ、本区では約一三〇〇人の精神薄弱者がいるものと推定される。
 身体障害者の場合も同様で、五十二年度末の「身体障害者手帳」の交付数は、二四六二件であるが、実際にはもっと多くの身障者が区内に在住しているものと思われる。身体障害のなかではし体不自由がもっとも多く、半数以上を占め、視覚障害と聴覚障害が一割強となっている。四十三年に行なわれた実態調査によると、身体障害者の就労状況では、就職者、自営業、無職のものが、それぞれほぼ三分の一ずつの割合となっている。就業していない人たちもその半数はなんらかの形で就業したい希望をもっている。
 昭和五十二年度末で身体障害者施設には一七名、精神薄弱者施設に四五名がそれぞれ在籍している。施設不足のため障害者の数にたいして施設在籍がきわめて少ないとみなければならない。心身障害者の数が増大傾向にあるのを考慮すると、将来この面での対策が重要となる。
【障害者にたいする施策】 障害者にたいする施策としては、心身障害者福祉電話の設置、都営地下鉄・都バス無料乗車券の交付など各種援護のほか、育成医療・更生医療の手が伸ばされ、さらに「心身障害者医療費の助成に関する条例」「心身障害者に対する看護料差額助成事業実施要綱」など東京都による医療費の助成がなされている。また、都の重度心身障害者手当や港区心身障害者福祉手当(四十八年度に発足)や、国の施策としての福祉手当(「特別児童扶養手当等の支給に関する法律」によるもの・五十年十月発足)などの手当制度も実施されている。
 昭和四十四年度からは、東京都心身障害者扶養年金が発足した。心身障害者の保護者が加入するもので、保護者の死亡や廃疾によって年金が支給される。掛け金は加入者の年齢によって、一〇〇〇円(三五歳未満)、一三〇〇円(三五歳~四五歳)、一五〇〇円(四五歳以上)となっている。五十一年度末で区内の加入は三六八件である。