寝たきり老人の実態と施策

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【介護の困難な寝たきり老人】 寝たきり老人は、区内で五八〇人余と推定され、高齢者になるほど、その割食が高い。寝たきりの期間をみると、五年未満が全体の半数、五~一〇年が二五%、一〇年以上の者も一五%を数える。
 日常生活では、不自由ながら辛うじて食事や排便ができる者が三分の二あるが、入浴となると八〇%以上の者が自分では不可能である。これら老人のうち七〇%は家族と同居しており、介護者は配偶者か息子の配偶者が多く、息子や娘は少ない。また、家事使用人やホームヘルパーの場合も非常に少ないのが実態である。
 寝たきりの状態が長く続くと、看護に当たる家族の睡眠時間が短くなったり家事や仕事にしわよせが及んで、家族全体の精神状態の不安定をかもし、ひいては家族関係の悪化をきたしている事例も生じている。
 

表11 区内の寝たきり老人の主な介護者

主な介護者割 合
 
配 偶 者
息子の配偶者

息   子
そ の 他
%
三〇・四 
三二・四 
一九・六 
二・九 
一四・八 

 
【区の施策】 寝たきり老人のための区の施策としては、家庭奉仕員制度(老人福祉法により三十七年一月発足)があって、奉仕員は介護者に困っている世帯を週一~二回の割合で家庭訪問して、身の回りの世話をしたり、話し相手になったりしている。
 また、老人家庭家事援助者雇用費助成制度(四十九年六月発足)は、寝たきり老人のうち老人家庭奉仕員制度が該当しない世帯で低所得世帯にたいする援助制度である。
【老人福祉手当と寝たきり老人見舞金】 老人福祉手当(月額九五〇〇円)と寝たきり老人見舞金(年額二万円)が、いずれも六ヵ月以上寝たきりの状態にある老人に支給されている。ほかに寝具乾燥・消毒・防菌加工、日常生活用具の貸与および支給、介護人派遣、紙おむつの支給、入浴介助サービス、理髪サービスなども実施している。