行政調査による伊皿子貝塚遺跡

38 ~ 38 / 323ページ
 行政調査とは、埋蔵文化財保護行政の施策のために自治体が関わる遺跡調査全般を総称し、遺跡保存を目的とする調査と、建築や土木工事などによる遺跡の湮滅(いんめつ)に先立ち行われる緊急発掘調査に大きく二分される。また、遺跡の有無や残存状態の確認のために行われる試掘・確認調査も、行政調査の基礎的な遺跡保護の一環として行われる。試掘・確認調査を含めて、港区内で行われる遺跡調査の大半は後者で、発掘調査によって遺跡の記録保存がなされている。
 昭和五十二年(一九七七)、当時の日本電信電話公社の社屋建設計画が起こった。計画地が遺跡地図により周知されていたことから、確認調査を実施した結果、予想以上に貝層が残っていることが明らかになった。そこで現状での保存を検討したが、諸条件が整わず、発掘調査を行い、記録保存することとなった。