第二項 段丘面の形成

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 現在の港区の地形がつくられ始めたのは、一二万五〇〇〇年前の最終間氷期である。この時期、関東地方平野部の多くは海面下であったが、気温の低下により海岸線は後退し、徐々に浅海・湿地化が進む。そこに古鬼怒(こきぬ)川が砂・粘土を供給して基底部を形成、その上に箱根火山などを給源とする火山灰層「下末吉(しもすえよし)ローム」が堆積し、現在の武蔵野台地の原型が形作られた。この上に武蔵野ローム・立川ロームが堆積してできるのが、下末吉面と呼ばれるもっとも高い台地面である。その後、一〇万年前から五万年前までの時期になると、武蔵野台地は古多摩川の扇状地となり、流路の移動などにより下末吉ロームが削り取られた場所に武蔵野礫層(れきそう)が堆積する。この上に武蔵野ロームと立川ロームが堆積して形成されたのが武蔵野面という段丘面であり、その後、同様の過程を経て最終氷期に立川面が形成された。そのため、武蔵野台地には高さの異なる下末吉面・武蔵野面・立川面という三つの段丘面が存在する。港区にみられる台地の多くは「淀橋台」という下末吉面に相当する段丘面であり、その東縁部には三田段丘のように武蔵野面相当のものも残されている。