陸奥八戸藩南部家屋敷跡遺跡で滑石製の玦状耳飾が二点出土したことはすでに述べたとおりであるが、伊皿子貝塚では垂飾品と考えられる滑石製品が出土している。ヒトあるいは動物を模したものと推測される。腕にはめて用いられた貝輪は、イタボガキやアカニシを素材とした完成品・未成品が丸山貝塚や伊皿子貝塚で出土しており、西久保八幡貝塚ではイノシシの牙を加工した垂飾品と考えられる牙製品が出土している。
これらはいずれも装身具だが、滑石製垂飾品やイノシシ牙製垂飾品には呪術的な背景が想定できるかもしれない。
図3-2-3-5 伊皿子貝塚出土の滑石製垂飾品(左)とイタボガキ製貝輪(右)