武蔵野台地の東端、現在の芝公園内には南北に細長く延びる独立丘状を呈する段丘があり、一帯は増上寺の寺域であった。この東京湾を臨む段丘上の古川に面した東~南縁部の平坦面に、前方後円墳である芝丸山古墳と、十数基の円墳群が位置している。芝丸山古墳群と総称されるこれらは、港区内はもちろん東京都内を代表する前方後円墳と古墳群であり、さらには日本考古学黎明期に発掘調査が行われた古墳としても、日本考古学史上、重要な遺跡である。
図1-2-2-1 芝丸山古墳群全体図
坪井正五郎「芝公園丸山大古墳及び其近傍に在る数ヶ所の小古墳に付いて」(『日本考古学選集3』築地書館、1972、初出1903)から転載