桜田郷の語源

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 「桜田」の語源については諸説あるが、既述したように語源の探索はしばしば恣意的になりがちで、確論を得るのは難しい。寛延二年(一七四九)に刊行された説話集の一つである『新著聞集(しんちょもんじゅう)』第六では「桜の木、いく千萬本も植えありし」とあって、他書でも桜の木と結びつける解釈が一般的である。たとえば江戸時代後期の江戸についての地誌である『御府内備考』では、源頼朝が霞山稲荷(かすみさんいなり)神領寄進の際に植えた桜に由来するともいう。