磐井(いわい)神社については、やはり同じく『日本三代実録』貞観元年十月七日己丑条に、「武蔵国従五位下磐井神、官社に列す」という記事があり、神階も薭田神社と同じで、式内小社に格付けられた。
『江戸名所図会』などは、これを鈴森八幡宮(大田区大森北二丁目)に比定している。現在は武蔵国八幡総社磐井神社と称している。式内社を意識した名であろう。『鈴森社伝略記』には古代に遡る様々な社伝が記されているが、『式内社調査報告』ではいずれも近世以降の所伝であるとされているので、やはり確たる根拠があるわけではないが、式内当社については論社は存在しない。
なお港区内には他にも古代に遡る社伝を持つ神社が存在するが、いずれも近世以前に遡るものではない。