『今昔物語集』

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 一二世紀前半に成立したと推測されている説話集である『今昔物語集』のなかにも、東国について触れた説話が含まれている。
 『今昔物語集』は、仏教説話六六三話、世俗説話三七七話からなり、その書名は、各話の書き出しが「今(は)昔」とあることによっている。天竺(てんじく)(インド)、震旦(しんたん)(中国)、本朝(日本)三国の古今の説話を集めているが、とくに本朝については、説話とはいえそれなりに史実を反映したものもあるので、十分な史料批判を加えることができれば、歴史学においても利用しうる貴重なものである。
 なお『今昔物語集』にみえる説話には典拠があるものも多く、他の説話集と共通の話題も存在していて、作者の創作によるものばかりではないことにも留意する必要がある。