新出史資料の活用

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 港区では長年にわたって文化財保護行政に取り組み、とくに昭和五七年(一九八二)には、現在の港区立郷土歴史館の前身である港区立港郷土資料館が開館した。しかし、資料館の史資料収集は『新修港区史』の執筆には間に合わなかった。このため、近世部分の叙述は主に地誌類や幕府の町奉行所が編さんした史料に拠っており、都市史研究が低調だったこともあって、江戸全体から港区をみるという俯瞰的なものとなっている。そこで今回の区史では、港区が所蔵する史資料の活用につとめ、資料館・歴史館がすすめてきた研究成果にも学びながら、より地域に即した叙述を目指した。
 また、武家屋敷に関する研究の進展によって、各地の保存機関に所蔵されている大名や旗本の江戸屋敷関係の史料に光があてられ、幕府側の武家屋敷関係の史料にも関心が集まった。さらに、区の文化財調査によって寺社の建築や史料が注目されることとなった。こうした史料についても調査を行い、叙述をすすめた。
 なお、自治体史ではこうした叙述の根拠となる史資料を資料編としてまとめることが基本であるが、これまでの港区史では資料編が刊行されてこなかった。このため、今回の区史では、資料編を刊行予定である。通史編の叙述に用いた重要な史資料は資料編に掲載する予定であるので、刊行後にあわせてお読みいただければ幸いである。