第一節 初期の都市開発

38 ~ 39 / 499ページ
 本章は港区域の都市開発と、それとうらはらの災害について扱う。
 まず一節「初期の都市開発」では、一七世紀、特に江戸の基礎的骨格が完成する寛文期(一六六一~一六七三)までを対象に、港区域の開発過程を追う。一項では、初期の江戸を描いた絵図を取り上げ、視覚的に都市空間の変容を分析する。二項から四項では、武家地・寺社地・町人地それぞれについて、初期の様相を概観する。
 つづく二節「考古学で見る町づくり」では、考古学から明らかになる都市開発と災害の痕跡について取り上げる。一項では初期江戸の低地・海浜部の埋め立てと造成の過程を、二項では高台(斜面・谷筋を含む)の造成の特徴を、三項では上下水道について遺跡の調査事例をもとに概説する。
 三節「人為的自然と災害」では、地形の改変や河川の流路変更によって生まれた人為的自然のもとで、港区域内で暮らす人々が経験した災害を取り上げ、コラムでは、遺跡から検出される災害の痕跡について紹介する。