海浜に並ぶ屋敷の造成

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 播磨龍野(たつの)藩脇坂家・陸奥仙台藩伊達家・陸奥会津藩保科家屋敷跡遺跡(No.98、通称「汐留遺跡」)の調査では、大名屋敷造成のための海浜部の埋め立ての姿が具体的に捉えられている。遺跡は北から脇坂家屋敷、伊達家屋敷、保科家屋敷と三邸が並んでいる。それぞれが独自で埋め立て事業を行っており、各屋敷ともに海手側に拡張している。海浜部の埋め立て造成の方法には、土留め竹柵工法をはじめ、土留め板柵工法、土留め堤状工法、土留め石垣工法の四種が確認されている(図1-2-1-3、図1-2-1-4、図1-2-1-5、口絵3)。

図1-2-1-3 土留め遺構各種
 東京都埋蔵文化財センター編『汐留遺跡Ⅱ 第1分冊』(東京都埋蔵文化財センター調査報告第79集、2000)から転載

図1-2-1-4 土留め竹柵 提供:東京都教育委員会

図1-2-1-5 土留め板柵 提供:東京都教育委員会


 脇坂家、伊達家両屋敷は段階的に海手側に拡張しており、屋敷内の海手寄りにある船入場は徐々にその規模を縮小していることがわかっている(図1-2-1-6)。                  (斉藤進)

図1-2-1-6
 汐留遺跡における土留め施設・船入場模式図
 江戸遺跡研究会編『江戸をつくった土木技術』(2009)から転載