多様な宗教施設・宗教者

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 一方、寺社以外の数多くの堂・祠(ほこら)・石像などが作られた。これらは人々や共同体を守護し、様々な利益(りやく)の求めに応じるものであった。このお堂でお願いすればこの病気が治り、あの祠で祈れば雨を降らせてくれるなど、機能の分化も見られる。特定の寺院・神社に付属するものもあった。
 近世には僧侶や神職以外にも、修験・陰陽師(おんみょうじ)その他の様々な宗教者が存在した。これらの宗教者の類別は必ずしも容易でないが、その多くは本山・本所(ほんじょ)のもとに編成され、組織化することで、独自の身分や職業を獲得した。修験は、京都の聖護院(しょうごいん)(天台宗)を本山とする本山派(ほんざんは)と、同じく京都の醍醐寺(だいごじ)三宝院(真言宗)を本山とする当山派(とうざんは)に分かれた。これらの宗教者間で職業の権益をめぐって紛争が生じることもあり、自らを正当化するための由緒が主張された。