表3-2-1-1 宗派・地区別寺院数(文政期)
「寺社書上」(国立国会図書館所蔵)をもとに作成。今里の江龍寺(曹洞宗)は白金に含め、渋谷の長谷寺・大安寺(共に曹洞宗、現在の西麻布に所在)は麻布に含めた。
全体で二五二か寺もの寺院が確認できる。この段階では、特に芝・高輪・二本榎(現在の高輪一~三丁目)・三田・麻布方面が、寺町のような密集地区となっていた。宗派としては、浄土宗・真宗(浄土真宗、一向宗)・曹洞宗・日蓮宗(法華宗)が多いが、その他の宗派も確認でき、特定宗派に限定されない都市的な特徴が表れている。このような特徴は江戸全体に当てはまることだが、港区域は江戸全体の中では天台宗寺院の割合が小さく、浄土宗・真宗寺院の割合がやや大きい地域である。なお、社僧(天台宗・真言宗など)や修験の堂舎は、本表ではカウントしていない。麻布の盛徳寺(せいとくじ)(曹洞宗)は本氷川(もとひかわ)明神社の別当でもあるため、ひとまず除いている。 (上野大輔)