「町方書上」に見る拝領町屋敷

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 町々の基本情報が記された「町方書上」を見ると、二二八の町に拝領町屋敷が存在したことを確認できる(以下、北原 一九九〇)。一つの町のなかに一〇〇坪以下の拝領町屋敷が一筆だけ存在する場合もあれば、一万坪近い大縄(おおなわ)拝領町屋敷の全体が一つの町になった事例もあり、それぞれの成立事情によって実態は異なる。江戸全体の特徴としては、下町低地に位置する外神田・浅草・深川、そして港区域の芝には、大規模な武家拝領屋敷はみられず、一つの町に小規模な拝領町屋敷が点在する場合が多い。一方、山手(武蔵野)台地の上野・湯島・本郷・四谷、港区域の赤坂・麻布・青山・西久保、そして台地上ではないが下谷には、四〇〇〇坪以上の大縄拝領町屋敷が分布した。