困窮の極に陥り、全く「自治の途」なく呻吟(しんぎん)しつつある一家又は孤独者に対しては、その生活費の給与がなされることがあった。疾病者にして入院が必要であっても送院費に困る者、あるいは葬儀費に困る者にはその費用が用立てられた。貧困のため故郷に帰ることを決断するも、その費用が不足する者に対しては帰郷費が工面されることもあった。そこでこれらの費用がいかに必要であるかを確認する必要が生じるが、これらの事務を担当するのが方面委員となる。方面委員は、その実情を審査して給与の可否を決定し、その調書を社会局に提出して市の救助規程に依る金品給与の手続きを執ったのである。