港区域の各種組合

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 昭和一四年(一九三九)当時の商業組合、工業組合の動向についてみてみよう。これら組合は連合会のように全国を一地区とするものや一地方を地区とする組合など、多種に及んでいた。表4-5-3-1は、昭和一四年時の港区域に所在する商業組合の一覧である。東京市内では日本橋区で七三、麴町区三九、京橋区三九、神田区三八、下谷区二五、浅草区二三で、港区域では三区合計で二九組合であった(組合の事務所がおかれていたところが所在地とされている)。業種によって組合がカバーしている範囲が異なっていた。各区で組合が設立されているもの(例えば、白米、酒類)と東京市、東京府を対象とする組合(例えば、豚肉や牛肉の卸は市内で一つ)に分かれていた。小売に比べ関係する商店数が少ない卸は統制がとりやすいためか、組合が網羅している範囲が広範囲であった。
 表4-5-3-2は港区域における工業組合の一覧である。芝区は、日本橋区、京橋区、神田区に次いで組合が多かった。一方、麻布区は一つ、赤坂区では三つと、各区の工業発展の違いが組合数にもあらわれていた。また、商業組合に比べてそれぞれの工業組合の範囲は広く内地全般に至るものも多かった。業種では機械関連の組合が集中していた一方、港区域に工場が少なかった紡織工業の組合は一つも置かれていなかった。また、港区域の特徴である家具製造業の組合が芝区のみを範囲として設けられていた。  (高柳友彦)
 

表4-5-3-1 港区域の商業組合一覧

東京市商工貿易組合協会編『東京市商業・工業・貿易組合一覧 昭和14年12月末現在』(1940)をもとに作成

表4-5-3-2 港区域の工業組合一覧

東京市商工貿易組合協会編『東京市商業・工業・貿易組合一覧 昭和14年12月末現在』(1940)をもとに作成