『港区史』通史編現代は、港区の七〇余年にわたる戦後史を記述するものである。本編では、港区が、その時々に、いかなる課題を抱え、その課題にいかにして取り組んできたのかを、主に行政の分野ごとに記述していく。
なお、港区域の自治体史としては、港区の前史といえる、『芝区誌』が昭和一三年(一九三八)に、『麻布区史』『赤坂区史』が同一六年に発行されている。最初の『港区史』が発行されたのは昭和三五年であり、その後、同五四年には『新修港区史』が発行されている。『港区史』『新修港区史』ともに、現代史として戦後港区の歩みが扱われているが、『港区史』においては昭和三〇年代の前半までの一〇余年、『新修港区史』においては昭和五〇年代の前半までの約三〇年が対象となっている。本書、『港区史』通史編現代は、『港区史』『新修港区史』が扱った時代を含め、昭和二〇年から令和二年(二〇二〇)前後までの七〇余年の港区の歴史を取り上げていく。
この序章では、まずは、終戦後から今日に至る港区の歩みを大括りにして概観する。なお、地方公共団体としての港区が誕生したのは昭和二二年三月一五日であり、それ以前の時代については港区域と表記する。