議員定数の問題

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前述の麻布区の統合反対理由にもあったが、ここで全区に共通する問題としての議員定数の問題に少しだけ触れておきたい。というのは、統合後に適用になる東京都制第一四四条第三項の規定では、区会の議員定数は一般市と同じ基準で定めることとなっていた(東京市政調査会 二〇一一b)。
表1-3-2は、昭和二二年(一九四七)二月一日時点での人口を基準とした統合対象二四区の議員定数を示したものである。当然ながら、人口基準で議員定数を割り出す方式を採用している以上、統合する区の数が多ければ多いほど、単独維持した場合より統合した場合の議員定数の減少は激しくなる。区域整理委員会小委員会の独自案でも懸念されたように、港区と新宿区を構成する三区統合案は、議員定数が半分になってしまうため、住民意思の表出という点で困難を抱えていた。とりわけ港区の枠組みにおいては、芝区が突出した人口規模であったため、三区統合が成立した場合は人口の少ない麻布区域や赤坂区域から議員を出すには一定の限界があり、それは区政運営の上での発言権を後退させるよう働くこととなる。二区の熾烈な統合反対の動きは、この問題とも密接に関連していたであろう。
なお、実際にも港区発足後の四月三〇日に行われた区議会議員選挙では定員四〇人に対して一〇六人が立候補するという激戦となり、当選者を地区別に見ると、芝区域から二四人、麻布区域から一一人、赤坂区域から五人となった。

表1-3-2 統合区の議員定数の変動

東京市政調査会編『都と区の制度的変遷に関する調査研究』(2011)から作成