港区では、「港区名誉区民条例」(昭和五一年〈一九七六〉施行)に基づき、これまでに六人の方が名誉区民として顕彰されている(以下、敬称略)。
小田清一(おだ きよかず)
明治三六年(一九〇三)三月二〇日~昭和五四年(一九七九)三月一七日。第五代港区長。幼少期から麻布本村町に居住、東京市芝区役所に入区の後、教育長、助役などを経て、昭和三二年、区長に就任。以来、四期一七年にわたり、区政の発展と区民生活の安定向上に尽力。他区に先駆けてコンピューターを導入、ゼロ歳児保育を実現した。昭和四八年、勲四等旭日小綬章(きょくじつしょうじゅしょう)受章。昭和五四年三月一六日、港区名誉区民。
中䑓瑞真(なかだい ずいしん)
大正元年(一九一二)八月八日~平成一四年(二〇〇二)四月二三日。本名、中䑓真三郎。木工芸家。千葉県に生まれ、上京して修業の後、昭和八年、西久保巴町(現在の西新橋)に工房を構える。日本で数少ない桐材の刳物(くりもの)(一木を鑿(のみ)で刳(く)り出し、鉋(かんな)や小刀で器を成形するもの)の名工として活躍。昭和五八年、勲四等瑞宝章(ずいほうしょう)受章、同五九年、重要無形文化財「木工芸」保持者(人間国宝)認定。平成八年一二月一〇日、港区名誉区民。
兼高かおる(かねたか かおる)
昭和三年(一九二八)二月二八日~平成三一年(二〇一九)一月五日。本名、兼高ローズ。ジャーナリスト。昭和三四年から三一年間続いたテレビ番組『兼高かおる世界の旅』のレポーター、ナレーター、ディレクター兼プロデューサー。港区国際交流協会の初代会長、港区政五〇周年記念事業実行委員会委員長も務める。平成二年、菊池寛賞受賞。平成三年、紫綬褒章(しじゅほうしょう)受章。平成二八年一〇月一二日、港区名誉区民。
四世 石田不識(よんせい いしだ ふしき)
昭和一二年(一九三七)一二月一九日~。本名、石田勝雄。琵琶製作修理技術者。青森県に生まれ、上京後、虎ノ門に工房を構える石田琵琶店の後継者として迎えられ、昭和四五年、雅号を継承。琵琶の胴から各部材の製作に至るまで一貫した技術を体得。平成一八年、選定保存技術(琵琶製作修理)保持者(人間国宝)に認定。平成一五年、文化庁長官表彰受賞。平成二〇年、旭日双光章(きょくじつそうこうしょう)受章。平成二八年一〇月一二日、港区名誉区民。
桂 由美(かつら ゆみ)
昭和五年(一九三〇)四月二四日~。ブライダルファッションデザイナー。日本のブライダルファッション界の第一人者として、港区から世界に向け、ブライダルファッション文化の発信に尽力。平成五年、外務大臣表彰受賞、令和元年、文化庁長官表彰受賞、令和二年、東京都功労者表彰受賞。令和四年一二月二日、港区名誉区民。
水谷八重子(みずたに やえこ)
昭和一四年(一九三九)四月一六日~。本名、松野好重。俳優。一六歳で新派・歌舞伎座で初舞台。港区政六〇周年記念事業における文化芸術に関する講演を実施。港区更生保護女性会顧問。平成五年、都民文化栄誉章受章、平成一三年、紫綬褒章受章、平成二一年、旭日小綬章受章。令和四年一二月二日、港区名誉区民。
(石上泰州)