昭和二七年の地方自治法の改正では区の事務が法定による制限列挙方式で一〇の項目に定められ、それ以外の市の事務は都の事務となった。当該一〇項目の内容は次のとおりである(特別区協議会 二〇一八)。
①小学校、中学校、幼稚園及び各種学校を設置し及び管理し並びにこれらに関する教育事務を管理し及び執行すること。
②主として当該特別区の住民の使用する公園、運動場、広場、緑地及び児童遊園の設置及び管理すること。
③主として当該特別区の住民の使用する図書館、公民館及び公会堂を設置し及び管理し並びに主として当該特別区の住民に対する社会教育を行うこと。
④主として当該特別区の区域内の交通の用に供する道路を設置し及び管理すること。
⑤街路樹及び道路の照明施設を設置し及び管理し並びに道路の清掃事業を行うこと。
⑥公益質屋、共同作業所、診療所、公衆浴場及び公共便所を設置し及び管理すること。
⑦小売市場を設置し及び管理すること。
⑧公共溝渠を管理すること。
⑨身分証明、印鑑証明及び登録等に関する事務を行うこと。
⑩前各号に掲げるものを除く外、都の処理していない公共事務及び法律若しくはこれに基く政令又は第三項の規定による都の条例により特別区に属する事務。
この結果、都区間の事務区分が明確となったが、特別区の事務自体は増大し、各区の行政内容を大きく左右することになった都区財政調整が当面の問題となった。港区においても財政調整をめぐる課題や執行委任事務の予算などがたびたび区議会での話題となった。
なお、昭和二八年には特別区道の設置管理、公共溝渠の維持管理、公衆便所の設置管理が区に移管された。