特別区側の構想

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昭和二九年七月に発足した国の第二次地方制度調査会は、第一次地方制度調査会から引き継いだ「首都及び大都市制度」を含む五つの調査項目に「国と地方公共団体の行政事務の適正な配分」を加えた諮問を受け、審議を開始した。このような国の動きに対して特別区側は特別区長会において「首都自治制度調査会」を立ち上げ、議長会と連携し、昭和三〇年一月に「首都自治制度の構想(試案)」を決定した。これは特別区の区域を一つの東京特別市とし、その中に特別区を設け、東京特別市と特別区の間で、新たに事務と財源を配分し、それ以外は、当時の地方自治法で存在した特別市の制度と法改正前の特別区の制度に基づくものとしたものであった。また、新しく東京特別市と特別区および特別区相互間の連絡調整のために、公選の東京特別市長と特別区長で構成する「東京特別市区理事会」を設置するという内容も含まれていた。自治権拡充運動としてはこの「首都自治制度の構想(試案)」を腹案とし、少なくとも昭和二七年改正前の状態に戻し、区長公選制の復活を目指す動きを主眼として続けられた。
港区においても議会で特別区制調査特別委員会が設置され、自治権拡充に向けた検討が進められていった。  (箕輪允智)