基本構想に示された諸課題に取り組み、その施策の大綱に沿って調和の取れた施策を進め、基本構想の実現を図るため、昭和五三年に「港区基本計画」が策定された。この基本計画は、港区の行財政を長期的展望に立って総合的かつ計画的に運営・推進していくためのものであり、計画期間は、昭和五三年度から六〇年度にわたる八か年とされた。
基本計画では、基本構想で示された五つの分野に合わせて計二四の基本政策(後述の「行財政と地域行政」における三政策を含む)を設定し、基本政策それぞれについて現状と課題の説明、計画目標の設定、政策の体系を表したうえで、具体的な計画化事業を提示した。五つの分野は、歩行者空間の確保や災害の防止などを基本政策とする「生命と健康を守る環境の整備」、老人福祉・児童福祉の拡充などに関する「住民福祉の向上」、幼児教育の充実や小中学校教育の拡充などを目指す「明るく豊かな人間性の形成」、中小企業と消費者の保護を目指す「地域経済の安定」、土地利用や交通網の体系的整備を進める「都市基盤の充実」で、これに自治権の拡充や住民参加の推進を図る「施策推進のために(行財政と地域行政)」が加えられた。