事務移管に向けての経緯

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東京都は昭和四九年(一九七四)六月に「東京都事務事業移管対策本部」を設置した。そして特別区の機能の充実強化、住民生活に支障が生じないように配慮すること、関係機関との十分な協議の三点に配慮し、法令改正により特別区が処理することが適当と思われるものはできる限り特別区に移管する、人事については、職員の身分切り替えは円滑に行えるよう、人事交流制度の維持、任用、給与、その他の勤務条件等の諸基準における都区間の均衡の確保に配慮しつつ実施することが基本方針として定められた。
一方、特別区側は同じく六月に二三区長および特別区協議会常務理事をメンバーとする「特別区事務事業移管対策本部」を設置し、財団法人特別区協議会を事務局として事務移管、職員の身分切り替えが円滑にできるよう進めていった。
移管対象となる保健所だけでも五三か所、保健相談所は一〇か所あり、職員は約二七〇〇人であった。また事務移管も保健所を含め九六事務あり、このような大規模な移管を円滑に進めるには、東京都側、特別区側ともに相当な準備が必要であった。そのため、特別区協議会調査部に東京都と各区から一人の派遣が要請され、事務移管の準備に当たることとなった。
そこで昭和四九年一〇月の第二回都区協議会において、移管対象事業として都衛生局関係から特別区へ三〇三項目、移管対象施設としては保健所、保健相談所、優生保護相談所、性病代用診療所等が示された。港区には保健所、保健相談所の他に、有栖川宮記念公園、高橋是清翁記念公園、心身障害者作業所、地域労働会館などが移管された。
なお、医師などの採用困難職に関しての職員移管は留保されたが、それ以外の職員は都から区への身分切り替えの対象となった。