区長公選制の復活、人事権の獲得、大幅な事務権限の委譲、それに伴う都区財政調整制度の変更を成し遂げた昭和四九年の地方自治法等改正であったが、残された課題はまだあった。一つは市が行うべき事務のうち、まだ都に留保されているものが残っていること、二つ目には課税権や財政上の独立性を強めることになったが、なお都が調整機能を果たす余地を残していること、三つ目は都と区の間の事務については、都に調整条例をつくる機能が残されてあることであった。そのため一般市の権能に近づいてはいるものの、特別区の法律的性格は従来の延長線上にあり、基礎的地方公共団体ではない、都の内部的団体という性格は変わらなかった。
そのため、法律上の基礎的地方公共団体と位置付けられ、独立性を増すようにしていくことが、今後の都区制度の改革に向けた特別区側の課題となった。 (箕輪允智)