本節六項で平和に関する区の取組をみてきたが、区議会も古くから平和要請活動を行ってきた。昭和二九年八月、港区議会はビキニ環礁で行われたアメリカ政府による原水爆の実験に対し、「原水爆及びその他原子力兵器の製造使用禁止に関する決議」を行った。決議可決後も、区議会が中心となり原水爆禁止運動は続けられ、原水爆兵器禁止署名運動港区協議会の結成へと結実し、最終的に区民一三万七一九〇人の署名実現をみるに至った。
さて、二三区で唯一米軍基地を有する港区にとって、米軍ヘリポート問題は現在まで続く重要課題である。六本木七丁目赤坂プレスセンター内ヘリポートにおけるヘリコプターの離発着は、騒音ならびに安全面で、周辺住民の生活環境に大きな影響を与えており、区と区議会は再三ヘリポート撤去に関する要請行動を行ってきた。区議会は、昭和四二年に初めて「米軍ヘリポート撤去方に関する意見書」を採択して以来、再三防衛施設庁(現在の防衛省)や東京都庁、あるいは米国大使館に要請を行ってきた。なお、平成一六年(二〇〇四)の沖縄県宜野湾市における大型輸送ヘリコプター墜落事故を契機として、区と区議会は連携して、ヘリポート基地の早期撤去に向けた要請を行っている。
また、これとは別に昭和五八年七月、日米合同委員会が、米軍宿泊施設(千代田区永田町山王ホテル)の代替施設として港区南麻布四丁目の安立会館を提供することで合意した事に対して、港区議会は、既に同五三年一二月に建設反対の請願を満場一致で採択していることや、同五四年一一月に区民との十分な話し合いがつくまで着工を見合わせる等の意見を採択していることから極めて遺憾であり、地元住民の納得を得るまで施設の開設を見合わせるよう要望する「ニューサンノー米軍センターに関する要望書」を全会一致で採択した。